安全・安心 憩いの場完成 市街地高台の本丸公園 市が再整備
令和3年10月2日付 7面

発生から10年が経過した東日本大震災の教訓を踏まえ、陸前高田市が避難場所として再整備を進めていた高田町の高台にある本丸公園の工事が完了し、1日に利用を開始した。「いつもの本丸、もしもの本丸」を合言葉に、広場を整えてあずまやなどを再建したほか、中心市街地から公園にスムーズに登れる避難階段を新設。震災からの復興を見守ってきた高台の憩いの場が防災機能を強化して生まれ変わった。

公園へとつながる避難階段も整備
避難階段やあずまや
本丸公園の敷地は約1万2700平方㍍で、このうち再整備したのは南側の約3000平方㍍。手すり付きの避難階段は中心市街地の商業施設「アバッセたかた」側に面し、まちなかから一直線に登ることができる。
広場は、震災を振り返る場とも位置づけ、インフラ整備が進んだまちや広田湾を眺められるよう南側の樹木を一部伐採した。
埋蔵文化財包蔵地であるため、極力原地形を変えずに景観にも配慮したうえ、あずまややトイレを再整備。市民らから寄せられた意見を反映し、イベント利用できる非常用電源や夜間の避難を想定した照明を配置する。
同公園は、戦国時代に旗頭として気仙を統治していた浜田(千葉)広綱の居城だったとされる高田城跡にある。
アバッセたかたやまちなか広場北側に位置し、高いところで海抜約40㍍の段丘となっている。震災発生時には多くの市民が避難し、命をつないだ。市が震災後にまとめた中心市街地津波避難マップでも避難場所の一つに位置づけられている。
一方で、公園につながる東側の通路は入り口が分かりづらく、市はまちなかから素早く避難できる環境を整えようと再整備を決めた。昨年12月に着工し、事業費は約1億6500万円。全額国の復興交付金を充てた。
市は地域の声を再整備計画に反映させようと、市民を対象とした意見交換会や現地見学会も開催。当初、昨年度末までの完成を見込んでいたが、新型コロナウイルス禍の影響で建築資材などの搬入が遅れたため利用開始の時期がずれ込んだ。
市都市計画課の髙橋宏紀課長は「中心市街地から一番近い避難場所として周知を図っていきたい。川原川公園と同様、市民に愛される憩いの場となってほしい」と期待する。