夜間の遭難捜索 ドローンで 15日から住田で提供開始 一社JICのサービス

▲ 世田米で行われた東北拠点のメンバーによる訓練の様子(9日)

早期発見への貢献期待


 一般社団法人Japan Innovation Challenge(東京都、上村龍文代表理事)は15日(金)から、住田町でドローンによる夜間捜索支援サービス「NIGHT HAWKS(ナイトホークス)」のサービス提供を開始する。行方不明者の捜索は通常、二次災害の恐れがあるため日没後は行われないが、ドローンで赤外線撮影することで夜間でも捜索が可能となる。関係機関は、遭難者が出た際の早期発見に大きな期待を寄せている。


あす夜、公開訓練

 

 同法人は、遭難発生時にドローン等のロボットを用いた要救助者の捜索支援や救助活動の支援、ハードウェア、ソフトウェアの開発支援・標準化、人材の育成を展開している。
 高齢登山者や外国人旅行客の増加により、遭難者、負傷者、死者、行方不明者は全国的に増加傾向にある。救助要請は夕方になることも多く、現状では日没後は二次災害の危険があるため、人手、ヘリコプターを使った捜索活動を行うことができない。
 一方で、生存確率が高いのは遭難発生から72時間以内とされており、より早期に捜索することで救出の可能性が高まる。
 夜間の捜索支援サービス「ナイトホークス」は、協定を締結した自治体から直接連絡を受け、夜間の捜索支援への活動を迅速に開始。ドローンを活用し、上空から赤外線撮影を行うことで遭難者の早期発見に貢献することを目指している。
 サービス内容は▽遭難発生時に自治体からの支援要請を24時間体制で受け付け▽遭難場所、状況などから適切なドローンスペシャリストを現地に派遣▽現地捜索本部の指揮・命令の下で夜間撮影、データ解析・報告、ドローン搭載照明による捜索隊の誘導──などで、今年5月、北海道上士幌町を皮切りにサービス提供が開始となった。
 住田町は恵まれた自然環境から、山菜やキノコ採り、渓流釣りをはじめ、町内外から多くの人が訪れてアウトドアレジャーを楽しんでいる。このため、同法人からのサービス提供の声がけに対し、「万が一の遭難や負傷への備えをしっかりとしておくことで、救助を待つ家族の心境にも配慮したい」との町側の意向により、8月30日に協定が締結された。
 サービス提供自治体は現在、県内では住田町のみ。全国では同町を含めて19自治体となっている。
 町内での遭難発生時は、ナイトホークスの東北拠点(花巻市)に駐在するメンバーが駆けつける体制となっており、町総務課の佐々木喜之課長補佐は「住田町では山菜やキノコ採りをする方も多く、行方不明者が発生する可能性がある。今までは夜の捜索ができなかったが、ドローンを活用することで夜間捜索が可能となり、生存確率も高くなると思う」と期待する。
 サービスの提供開始に先立ち、13日(水)には世田米地内で消防や警察など関係機関・団体向けの公開訓練も行われる。