イカ料理「おいしい!」 インターンの大学生が考案 小中学校の給食に採用(別写真あり)
令和3年10月13日付 3面

大船渡市内の小中学校で12日、同市大船渡町のサンコー食品㈱(小濱健代表取締役)でインターンシップを行った大学生が考案した給食メニューが出された。同社が加工したイカを使ったもので、学生たちが地道に動き、学校給食を担う栄養士らも思いをくんで味付けを調整するなどして実現。子どもたちは地元企業が手がける〝身近な味〟に舌鼓を打った。
大船渡小と大船渡中の給食で出されたのは「タンドリーイカ」。ステーキ状のイカにカレー粉などをまぶしてもみこみ、焼いたもの。このうち、大船渡小では校外学習の一環で、今月に同社を見学した3年生らが味わい「おいしい!」の声が飛び交った。
持田莉功君(8)は「カレー味でおいしかった。いつもの給食よりもいっぱいかんだ。また給食で出てほしい」と話し、笑顔を見せた。
地元内外で水揚げされるイカの加工品製造などを展開する同社で8月から9月にかけてインターン生として活動したのは、神奈川大学経営学部3年の増田美空さんと、立教大学観光学部同の小國瑞奈さん。神奈川県出身の増田さんは、同社での業務体験を前に自宅で〝テレワーク〟期間があり、イカを活用したレシピ開発や動画制作に取り組んだ。
その中で考案した一つが「タンドリーイカ」。調理が比較的簡単でタンパク質がとれることに加え、よくかんで食べることで肥満予防や「かむ力」の向上なども意識した。従業員にも提案し、好評を博していた。
増田さんは「考案した時は採用されるとは思わなかったが、うれしい。イカの需要拡大や子どもたちがもっとイカを食べてくれることにつながれば」と充実感をにじませる。
一方、大槌町出身の小國さんは当初から、レシピ開発とともに、学校給食にイカの調理メニューを取り入れてもらうよう提案活動にも注力。給食関係者に出向き、熱意を伝えた。
小國さんは「正直、こんなに早く実現するとは思わなかった。関わっていただいた方には感謝している。給食の現場で地元の食材をもっと使いたいと考えていることも分かった」と振り返る。
両校の給食を担う大船渡学校給食共同調理場では、多くの子どもたちが食べやすいよう味付けを修正するなどして、大学生の思いを形にした。大船渡中ではイカへの理解を深める時間が設けられるなど、給食採用が幅広い効果をもたらした。
佐藤美香栄養士は「学生たちの食の力で元気にしたいという思いに共感した。私たちとしても、地元の食、加工を見つめ直す機会になった。今後も献立を通じて発信していきたい」と話していた。