県南家畜市場で最高値 メスの子牛が117万円 住田の水野夫妻が飼養

▲ 子牛の繁殖を行っている水野さん夫妻

 住田町上有住二反田で黒毛和牛繁殖農家を営む水野勝義さん(62)・京子さん(59)夫妻が繁殖・飼養したメスの子牛が、JA全農いわて県南家畜市場(奥州市)で開かれた今月の和牛子牛市場で117万4000円(税抜き)の最高値を付けた。新型コロナウイルスの影響により和牛価格も低迷する中での〝大台〟突破となり、関係者らの話題を集めるとともに、気仙の生産者の励みにもつながっている。

 

価格低迷下で大台突破

 

 県南家畜市場は毎月2日間開催。今月は6、7の両日開かれ、JA岩手ふるさと、JA江刺、JAおおふなと、JAいわて平泉管内から去勢(肉用)255頭、メス216頭の計471頭の子牛が上場され、県内外からの購買者による競りが行われた。
 今回、水野さん夫妻が上場したメスの子牛は生後289日、297㌔で、母の父に希少価値の高い「安福久」という牛の血統を持つ。
 勝義さんは20歳のころから、「肥育」(肉用牛)を家業として経験しており、24年ほど前からは母牛に子牛を産ませる「繁殖」も開始。現在は夫婦で黒毛和牛繁殖農家を経営しており、26頭の繁殖牛を飼養している。
 水野さん方では10年ほど前に「安福久」の種を手に入れ、これまでにオスとメス合わせて10頭ほど、安福久の血統を持つ子牛を誕生させた。安福久の血統は肉質はいいが繁殖性が低いといい、水野さんもJAおおふなとからアドバイスを受けながら丹精込めて飼育。今回、最高値を付けた子牛も「きれいな牛だった」(勝義さん)という。
 コロナ禍での外食産業の低迷による牛肉需要の減少で、和牛価格も下落しているといい、ここしばらくの最高値は70万円から80万円ほどだった。そうした中で100万円の大台突破は、関係者からも注目を集めた。
 肥育では何度か最高値を付けているが、子牛では初めてだという水野さん夫妻。勝義さんは「時間があれば、買ってくれた人のところに見に行きたい。立派に育ってくれれば」と話す。
 JAおおふなと管内の黒毛和種繁殖牛飼養生産者で組織する「気仙和牛改良組合」の横石善則組合長は、「改良組合員から最高値で取引される牛が出たことは、他の組合員の励みになる。組合員数も減少していることから、これをきっかけに新たな仲間が増えてくれれば」と期待する。