新型コロナウイルス/市内全店舗で「安心認証」を、市が県制度の取得を後押し、飲食店支援金の申請受付開始

▲ 「いわて飲食店安心認証」の認証基準を満たすか確認する現地調査。大船渡市内での認証は100店舗を超えた(盛町、7月13日)

 大船渡市は、新型コロナウイルスの影響で苦しむ事業者の新たな支援策として「飲食店感染防止対策支援金」を創設し、申請を受け付けている。県の「いわて飲食店安心認証制度」による認証を取得した飲食店に対して、1店舗あたり10万円を支給。事業継続や経営支援だけでなく、市内全店舗での認証を目指し〝ウィズコロナ〟の体制づくりを広げる狙いもある。

 

1店舗に10万円支給

 

 支援金の対象は、県による「いわて飲食店安心認証制度」の認証を取得している飲食店を市内で営む中小企業者ら。支給額は、市内の認証店舗1店舗当たり10万円とする。中小企業が営む認証店には県から同額が支給されるが、さらに市が独自で上乗せする形となる。
 いわて飲食店安心認証制度は、飲食店で利用者が安心して滞在できる環境の提供を目的に創設。基本的な感染防止対策に関し、第三者の視点からも確認することで感染予防効果を高める狙いもある。6月下旬から申請を受け付けている。
 対象は、客席を設けて食事などを提供する県内の飲食店(喫茶店を含む)のほか、飲食部門がある宿泊施設など。認証取得には▽来店者の感染症予防▽従業員の感染症予防▽施設・設備の衛生管理の徹底▽感染者発生に備えた対処方針──の4分野、計28項目すべてを満たさなければならない。
 市ホームページによると、市内では13日現在で119店舗が認証店となった。市議会9月定例会で可決された一般会計補正予算では認証店すべての交付を想定し、160件分を計上している。
 支援金申請時には、市ホームページからダウンロードできる申請書に必要事項を記入。さらに「いわて飲食店安心認証」や県地域企業経営支援金(認証取得事業者支援事業)支給決定通知書の各写し、誓約書も必要になる。
 申請は市商工課への提出か、同課への郵送で対応。申請から2週間程度での送金が見込まれる。市内で認証店舗を複数営んでいる場合は事業者が対象店舗分を一括で申請を。申請は1事業者あたり1回限りとする。
 大船渡商工会議所の会員事業所を対象に実施した新型ウイルスの影響に関するアンケートによると、8月時点で飲食業の94・7%、宿泊業の70・6%が「影響を受けている」と回答。影響が出ている事業所に前年同月との売り上げの比較を聞いたところ、飲食業では25・5%が「50%以上減」と回答したほか、小規模事業所の深刻さが浮かび上がった。
 市では飲食店の事業継続や感染防止対策支援に加え、市全体に認証が広がり、地域全体としての感染防止体制徹底や消費者の利用促進につなげたい考えだ。
 7月から8月にかけ、デルタ株の影響などで全国で新型ウイルスの感染が再拡大し、県は8月12日に独自の緊急事態宣言を出した。9月16日で解除され、その後の感染状況は小康状態が続く。
 一方、県などによる需要回復に向けた飲食店支援キャンペーンでは、認証が条件となっているケースも。市では、各種制度を有効活用しながら経営する〝ウィズコロナ〟を見据えた認証制度促進策の一つとしても位置づける。
 問い合わせは同課(℡27・3111内線109、111)へ。