きょうからサービス提供 ドローンでの捜索支援 一社JICが住田町で 

▲ 世田米で行われた公開訓練の様子

 一般社団法人Japan Innovation Challenge(東京都、上村龍文代表理事)は15日、住田町でドローンによる夜間捜索支援サービス「NIGHT HAWKS(ナイトホークス)」の提供を開始する。ドローンを活用することで夜間でも遭難者の捜索が可能となるもので、サービス提供開始を前にした13日夜には、町内で関係機関向けに訓練を公開。効率的な捜索や遭難者の早期発見への貢献へ、関係者が大きな期待を寄せた。

 

関係機関に訓練を公開

 

ドローンの性能も披露

 公開訓練は世田米の遊林ランド種山で行われ、花巻市にあるナイトホークスの東北拠点からメンバー15人が来町。大船渡地区消防組合消防本部、大船渡消防署住田分署、大船渡警察署、町、町消防団からも約20人が現地に足を運んだ。
 関係者へのサービス内容説明のあと、暗闇の中でドローンを飛ばして性能を披露したり、実際に遭難が発生した場合の連携体制などについて確認。
 捜索時にドローンを活用することにより、空中から遭難者を発見した際には機体に搭載しているサーチライトで暗闇を照らしたり、GPSで正確な位置を把握することで夜間でも救助が可能となる。
 消防団員が減少している中で効率的な捜索活動につながることにもなり、町消防団の水野有記団長(63)は「住田は険しい山々に囲まれたまちで、これまで夜間の捜索はできず、悔しい思いをした経験もある。ドローンチームの支援によって夜間捜索が可能となり、72時間以内に発見できる可能性が高まる」と期待。
 上村代表理事(45)は「ドローンのような最先端の技術を災害や人命救助に活用できないかとの思いで活動してきた。訓練を重ねながら実績を挙げ、最先端の技術で多くの人の命が助かれば」と話していた。
 同法人は今年2月に設立。遭難発生時にドローン等のロボットを用いた要救助者の捜索支援や救助活動の支援、ハードウェア、ソフトウェアの開発支援・標準化、人材の育成を展開している。
 高齢登山者や外国人旅行客の増加により、遭難者、負傷者、死者、行方不明者は全国的に増加傾向にある。救助要請は夕方になることも多く、現状では日没後は二次災害の危険があるため、人手、ヘリコプターを使った捜索活動を行うことができない。
 一方で、生存確率が高いのは遭難発生から72時間以内とされており、より早期に捜索することで救出の可能性が高まる。
 夜間の捜索支援サービス「ナイトホークス」は、協定を締結した自治体から直接連絡を受け、夜間の捜索支援への活動を迅速に開始。ドローンを活用し、上空から赤外線撮影などを行うことで、遭難者の早期発見への貢献を目指す。同法人ではドローンの操縦に長けた人材と契約を結んでおり、定期的に夜間の操縦訓練なども展開している。
 サービス内容は▽遭難発生時に自治体からの支援要請を24時間体制で受け付け▽遭難場所、状況などから適切なドローンスペシャリストを現地に派遣▽現地捜索本部の指揮・命令の下で夜間撮影、データ解析・報告、ドローン搭載照明による捜索隊の誘導──などで、今年5月、北海道上士幌町を皮切りにサービス提供がスタート。住田町は8月末に県内で初めて、全国では19番目にサービス提供の協定を締結した。
 東北拠点には、ドローンなど機材一式を備えた車両が常備されており、遭難発生時は住田町から連絡を受けて同拠点の所属メンバーが各地から現場に駆けつける。