ぎんりんグループとの絆を後世に 下矢作コミュニティ推進協 市地域交付金で記念碑建立(別写真あり)

▲ 記念碑建立を祝うぎんりんグループ関係者や下矢作地区住民ら

 陸前高田市矢作町の下矢作地区コミュニティ推進協議会(佐藤信一会長)は、鳥取県で飲食店を展開し、東日本大震災直後から同地区を支援する「ぎんりんグループ」(村上亜由美代表取締役)との絆を後世に伝えようと、同地区コミュニティセンター入り口前に記念碑を建立した。市の地域交付金を活用したもので、16日に除幕式を実施。地区住民らが同グループの関係者に感謝を伝えるとともに、大切な絆がこれからもつながり続けるよう願った。

 

震災後の継続支援に感謝

現地で除幕式

 

 除幕式には、佐藤会長(72)ら同協議会や市、村上代表取締役(57)ら同グループの関係者合わせて14人が出席。石碑にかけられた幕を全員で下ろし、整備完了を喜んだ。
 佐藤会長は「ぎんりんグループの方々には、言葉では言い表せないほど感謝でいっぱい。私たちの思いを形にし、下矢作の誇りとして残していきたい」とあいさつ。
 村上代表取締役は「震災後、思いやりにあふれる住民の方々を見て、私たちも多くのことを教えられた。大好きな皆さんと一緒に歩み、ふれあってこられたことはとても幸せなこと。これからも手をさしのべ合い、一緒に前に進みたい」とし、かけがえのない仲間との末永い交流を願った。
 同グループは、平成23年4月から同市で炊き出し支援を展開。以降、縁ができた同地区に毎年足を運び、料理を振る舞う「親睦会」を通じて住民との交流を深めてきた。
 地区住民らは、継続支援への感謝を伝えようと、鳥取県を訪問したこともある。28年に鳥取中部地震が発生した際には、同グループに寄付金を贈った。
 昨年からは、新型コロナウイルスの影響で人が集まっての交流は見合わせているが、同グループではテークアウト用の料理を用意して地区住民に贈っている。「皆さんが前を向くきっかけに」と、今も住民の心に寄り添い続ける。
 同協議会では、物心両面で多大な支援を受けていることや、遠く離れた場所に住む人々との奇跡的な出会いへの感謝を形に残そうと、市の地域交付金を活用して記念碑を建立。石碑中央に記した「ありがとう」の文字の字体は、同グループが震災後発行してきた活動報告冊子のタイトルと同じものにした。
 また、記念碑の建立と合わせ、同協議会では地域交付金でセンター入り口前の一角を整備し、JR大船渡線の駅では市内で唯一、津波での流失を免れた旧陸前矢作駅の駅名板も設置。駅名板は、BRT(バス高速輸送システム)専用道の整備に伴い撤去されるものだったが、同協議会から震災遺構として残したいという声があり、市の協力でJR東日本から譲られた。
 このほか、23年8月に同グループがセンター敷地内に植えた記念樹で、鳥取県木・大山伽羅木(だいせんきゃらぼく)を記念碑の隣に移植。碑には駅名板と記念樹の説明も添えられた。
 佐藤会長は「駅は離れた地域と地域を結ぶ場所。震災で鉄のレールはなくなったが、駅名板が置かれたこの場所で、ぎんりんグループの方々や、日本全国の人との心のつながりがずっと続いてほしい」と語っていた。