2021衆院選岩手2区/自民・鈴木氏圧勝で10選 「真の意味で復興完遂を」 大林氏(立民)に約8万票差

▲ 支持者とともに10度目の当選を喜ぶ鈴木氏(中央)=滝沢市

 第49回衆議院議員総選挙(総定数465)は、10月31日に投開票が行われた。気仙2市1町が小選挙区の区割り改定で岩手2区となって2度目の選挙は、与野党対決を軸に展開され、政権与党の一員、そして閣僚として復興完遂や地域の振興を訴えた自民党前職の鈴木俊一氏(68)=公明党推薦=が、23市町村すべてでトップとなり、14万9168票を得て通算10選を果たした。野党統一候補として臨んだ立憲民主党新人の大林正英氏(57)は6万6689票で、鈴木氏に8万2479票差で敗れた。「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」新人の荒川順子氏(68)は3548票にとどまった。


 鈴木氏陣営は滝沢市の選挙事務所近くにあるニューシビックセンターで吉報を待ち、投票終了前の午後7時40分過ぎには、用意した約60席がほぼ埋まった。同8時の投票終了直後にテレビで当選確実の速報を確認し、拍手が沸き起こった。
 間もなく、鈴木氏は妻の敦子さん(67)らとともに、深々と礼をしながら会場入り。支持者との万歳三唱では終始笑みを浮かべ、通算10度目となった当選の喜びを分かち合った。
 鈴木氏は支持者を前に「真の意味での復興を完遂をさせ、新型コロナウイルスへの対応をしっかり行い、一日も早く収束に向かわせ、経済支援をさらに充実させることや、子ども・子育ての問題などを訴えてきた。一つ一つ解決し、期待に応えたい」とあいさつ。「改めて、この選挙区の広さを感じた。とても12日間では回りきれず、本当に多くの皆さんに支えられた」と感謝を込めた。
 記者団から財務相としての抱負を問われ「補正予算を成立させ、1月からの通常国会では、来年度予算編成にも力を入れなければならない。財政にも配慮しながら質のいい予算にしていきたい」と語った。
 政権交代後、9年に及んだ自民・公明による連立政権の信が問われた今回の総選挙。勝敗ラインを過半数の233議席とする与党に対し、多くの選挙区で野党が統一候補を立てて争うという構図で選挙戦が展開され、岩手2区も実質的には与野党対決となった。
 鈴木氏は、前回選からの4年間で五輪担当相や党総務会長を務め、先月発足した岸田内閣では財務相に就任。選挙戦では、政権与党そして内閣中枢ポストの立場から、復興完遂や新型ウイルス対策、国土強靱化、地方活性化、国際リニアコライダー誘致などへの訴えを強めた。
 第70代首相を務めた善幸氏(故人)を父に持ち、「漁港検診」などで以前から足を運ぶなど、区割り改定以前から気仙での知名度は高く、前回選後に組織された気仙地区後援会、党の市町支部、友党の公明が中心となって精力的な運動を展開。党派を超えて支持を広げ、多分野の職域に浸透。過去の国政選挙で「非自民」を支持してきた層も取り込むなど、基盤に厚みを増した。気仙での〝初戦〟で野党候補との一騎打ちだった前回は2953票差での勝利だったが、今回は1万1021票差と大きく広げた。
 一方の大林氏は、立憲民主党県連の小沢一郎代表に近い市町議、共闘を担う共産と社民の支持層を中心に支援を受け、原発処理水の海洋放出方針反対などを訴えたが、広がりを欠いた。
 荒川氏は街頭演説など本格的な選挙運動を行っておらず、与野党対決に埋没した。
 気仙の投票率(小選挙区)は大船渡市が64・98%(前回選比2・20ポイント増)、陸前高田市が67・17%(同3・96ポイント増)、住田町が67・26%(同1・60ポイント増)。2区全体は60・28%(同0・67ポイント増)だった。


鈴木氏の略歴

 

 昭和28年生まれ。早稲田大学卒。全国漁業協同組合連合会勤務、父・鈴木善幸氏秘書を経て、平成2年の第39回総選挙で初当選。厚生政務次官、外務副大臣、環境相、五輪相など歴任。先月発足した岸田内閣で財務相に就いた。住所は山田町八幡町。68歳。当選10回。