終盤へ〝巻き返し〟なるか サンマ今季最多の220㌧水揚げ 市魚市場 

▲ 公海で操業したサンマ船が入り、今季最多となる220㌧の水揚げに。累計数量はようやく1000㌧を超えた

 大船渡市魚市場に4日、サンマ棒受網船6隻が接岸し、今季最多となる220㌧を水揚げした。8月に始まったサンマ漁は後半に入ったが、主漁場は本州から離れた公海が続く。一昨年、昨年と不漁に終わり、今季は資源量に加え、しけの影響もあり、さらに落ち込んだ状況で推移。関係者は、11~12月にかけての三陸沖での漁場形成による〝巻き返し〟に期待を込める。

 

前年下回る実績で推移

 

 休場明けの4日は、2日まで操業した大型サンマ船が入港。魚市場の南側岸壁には、午前6時すぎから各漁船が水揚げしたサンマが並び、買い受け人らが大きさや質を吟味した。
 入札の結果、1㌔800~530円の取引となり、その後は次々と網で水揚げされた。サンマが入ったタンクを運ぶフォークリフトなどが行き交い、「サンマのまち」らしい活気が広がった。
 一方で、漁船関係者からは「いつもなら、三陸沖で操業する時期だが、今は公海にしかいない」「しけが収まれば、サンマも上がってきやすくなるだろうが、なかなか難しい。型は良いものも増えているから、早く三陸沖に下がってくれればいいが…」といった声が聞かれた。
 大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「しけが多くなり、操業日数が確保しにくくなる時期だが、なんとか漁況が良くなってくれれば。生産者も買い受け人も、みんなが同じ気持ちのはず」と話していた。市魚市場では5日も、サンマ船6隻が計約150㌧の水揚げを予定している。
 今季のサンマ水揚げは8月28日が初日で、9月には1日で150㌧を超える日も。当初は年度全体で水揚げ量が低迷した昨年、一昨年の同時期を上回るペースで推移していた。
 前年の10月は中旬から下旬にかけて、300㌧台が続く日があったが、今年は100㌧を超えたのがわずか2日と低調だった。市場関係者は、台風の北上やしけ模様が続いた後の伸びを期待していたが、まとまった水揚げが続かない状況となっている。
 県水産技術センター水産情報配信システム調べによると、4日までに同魚市場に水揚げされたサンマ(棒受網船、生鮮)は1091㌧で、金額は7億6962万円。1㌔あたりの平均価格は705・42円となった。
 昨年との比較では、水揚げ量で約1440㌧、金額では4億6500万円下回る。平均価格は今季の方が200円以上高い。
 一般社団法人・漁業情報サービスセンターがまとめた第6回サンマ中短期漁況予報によると、11月上旬~12月中旬は「三陸沿岸から離れた沖合に漁場が形成される」という。
 道東海域では、11月上旬は低位水準で断続的な来遊となり、終漁に。魚群の多くは、道東海域よりも東~南側を南下する見込み。11月上旬は襟裳岬の沖合での断続的な漁場形成を予想する。
 三陸海域も、11月上旬は低位水準で断続的な来遊に。11月中旬~12月上旬は低位水準で、同中旬は断続的に推移し、来遊量は前年同様に少ない見込みとなっている。