市が国保税値上げ 議会提案へ 1人当たり14・1%増 赤字解消見据え来年度から

▲ この日の全員協議会から、議場内で市議らがタブレット端末で説明資料などを確認

 大船渡市は、9日に開かれた市議会全員協議会で、国民健康保険税(国保税)の税率改正関連議案を、市議会12月定例会に提案する方針を示した。令和4年度からの改正を目指し、1人当たりの賦課額は現行の8万6450円から1万2165円(14・1%)増額し、9万8615円とする内容。被保険者1人につき一定の金額を課税する「均等割」を引き上げることで、世帯によっては1人当たりの平均改正率よりも値上げ幅が上回るケースも。市は改正により、年間1億円程度の財源不足解消を図る。

 

 市によると、9月末現在の国保被保険者は5285世帯で、人口は8077人。市内全世帯の35・6%、人口は23・4%を占める。

 平成30年度の国保制度改革に伴い、都道府県が市町村と共同保険者となった。都道府県は保険給付などに必要な費用を市町村に交付する一方、市町村は被保険者数や世帯数、所得水準、医療費水準などに応じて算定された国保納付金を都道府県に納付する仕組みが導入された。
 市は24年度以降、国保税の税率を据え置き、制度運営に努めてきたが、被保険者の減少などによって国保税の税収が減少するにもかかわらず、高齢化や医療の高度化に伴い、1人当たりの医療費は年々増加。県内の中で所得水準が上位で、医療費水準も高めであることから、制度改革後は被保健者1人当たりの納付金が県平均よりも高く算定されるなど、市国保の財政運営は、制度改革前よりも厳しくなった。
 近年の決算状況をみると、実質的な収支は制度改革後の平成30年度から赤字が続く状況。令和3年度は基金残高4638万円を全額繰り入れても3044万円の不足が見込まれ、県・財政安定化基金からの追加の借り入れを予定している。
 4年度も歳入が41億円程度に対し、歳出は約42億円で、約1億円の赤字となる見込み。歳入、歳出とも次年度以降減る見通しだが、収支は同程度で赤字が続くとみている。
 震災の影響で医療費が増加した市町村には国の財政支援が行われていたが、平成28年度以降減少が続き、令和3年度はない見込み。さらに、制度改革に伴う激変緩和措置も段階的な縮小が続く。
 市町村は、都道府県が示す標準保険税率を参考に保険税率を決定するとされている。改正に向け、市は県が算定した標準保険税率を基本とし、さらに▽財源不足にならない税率設定▽4年度以降の激変緩和措置額をゼロとする▽借り入れした県への償還金(約7100万円)を考慮▽賦課方式を4方式から3方式に変更──などを加味して案をまとめた。
 現在、大船渡市の各世帯に対する税率(医療、後期高齢者支援、介護納付金の合計)は所得割(前年中の所得から43万円を控除した額に適用)が11・10%で、資産割(固定資産税額に適用)が22・4%。均等割(被保険者1人につき課税)は3万3000円、平等割(世帯単位で課税)は3万5000円。さらに、所得・世帯別に、7割、5割、2割の軽減措置が行われる。
 一方、県が算定した標準保険税率は所得割が11・09%。均等割は4万7738円、平等割は3万1334円となっている。
 市が今回示した改正税率は、所得割が12・10%。均等割は5万1300円、平等割は3万3800円とする。現行との比較では、所得割額が1・01%分の上乗せ、均等割は1万8300円を引き上げ、逆に平等割は1200円引き下げる。資産割は廃止する。
 これにより、1人当たりの賦課額は8万6450円から9万8615円となり、1万2165円(14・1%)の値上げに。市全体で約9900万円の増収を見込む。
 均等割の増額幅が大きいことで、モデルケースでは、所得が43万円以下世帯(7割軽減)の中には、従来よりも24~46%の税負担増も出てくる。
 改正により、近隣市との比較では、陸前高田市とほぼ同水準に。釜石市は気仙両市よりも低い設定となっているが、基金の取り崩しが続いているという。
 今後は引き続き、国保財政の安定運営に向け、収納率向上策の推進で税収確保を図るほか、県などとの連携も進め、医療費の適正化を進める。また、市広報や医療費通知による医療費に関する意識啓発のほか、ジェネリック医薬品の利用促進など保健事業の推進、特定健診や特定保健指導の推進で医療費抑制に努める。
 議員からは「コロナ禍で原油高の影響や食料品の値上げも相次いでいる。今行うタイミングか」との質問も。市側は、来年度の年間1億円を超える赤字見通しに加え、「昨年度もコロナの影響をかんがみ、見送った経緯がある。次年度への負担を大きくすることもできない」と答弁し、理解を求めた。
 モデルケースによる比較などは別掲。