気仙の成り立ちたどる 歴史文化研究会 小友の常膳寺と白山神社訪問(別写真あり)

▲ 白山神社とスギの巨木を見学後に記念撮影する一行

 郷土の歴史を後世に伝えようと活動している気仙歴史文化研究会(甘竹勝郎会長)は13日、陸前高田市小友町の常膳寺を訪ねた。同寺の開基は大和朝廷による蝦夷征討に由来すると伝わっており、会員らは寺とその周辺を歩きながら、改めて郷土の成り立ちへの考察を深めた。
 同会は、東日本大震災で多くの歴史的資料が被災した中、これらを整理しながら先人が築いた郷土の歴史を学び、後世に伝えていこうと、平成28年に結成した。
 前大船渡市長の甘竹会長(78)=同市盛町、陸前高田市立博物館長の松坂泰盛さん(77)=同市気仙町、元住田町教育委員長の千葉英夫さん(78)=同町世田米、合併前の旧三陸町と合併後の大船渡市で助役を務めた中村隆男さん(78)=同市三陸町越喜来=の4人が中心となり、郷土の歴史を掘り下げる活動を続けている。
 この日訪ねた常膳寺は大同2年(807)の開基といわれ、「気仙三観音」の一つ、十一面観音菩薩立像をまつり、古くから信仰を集めてきた。観音像は、坂上田村麻呂の軍がこの地を治めていた「小友の早虎」を討った際に冥福を祈ったものとする説も伝わる。
 4人は地元の上野文雄さん(79)を案内役に迎え、元禄9年(1696)に再建されたとされる観音堂、樹齢1000年ともいわれる高さ約70㍍の姥杉(うばすぎ)などを改めて見学。寺の裏手の小高い場所にある白山神社にも足を延ばした。
 同神社は寺と同じ頃の勧請(かんじょう)という説がある。早虎の隠れ家だったとされる大岩の上部に鎮座し、現在、屋根以外はコンクリートブロック造りとなっている。そのすぐ隣にはスギの巨木が立つ。
 寺からここに通ずるはっきりした道はなく、一行は斜面を登って到着。上野さんは「かつては縁日で訪れる人もいたが、いまはずいぶん減っている」と伝えた。
 初の訪問となった会員もおり、加持を祈った木札や大岩をカメラにおさめるなど、熱心に見学した。甘竹会長は「大和朝廷の支配下に入り、『気仙』の言葉が文献に登場するようになった。三観音がまつられた場所は、いわば気仙の始まりの地だとも言えるのではないか」とし、「地域の安泰や住民の幸せを願ってきた先人の英知に、改めて敬意を表したい」と話していた。