東日本大震災10年/三陸沿岸道 全線359㌔つながる 野田久慈道路の開通で 12月18日に供用開始

気仙も産業、観光振興に期待

 

 国が東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして整備を進める復興道路・三陸沿岸道路(三沿道、延長359㌔)のうち、普代村第16地割から久慈市新井田を結ぶ「野田久慈道路(普代~久慈)」(同25㌔)が12月18日(土)に開通することが決まった。同区間の供用開始により、三沿道は震災発生から10年余りを経て、青森県八戸市から宮城県仙台市までの全線が一本につながることとなる。気仙からも県内沿岸北部地域、八戸市方面へのアクセス、利便性が高まり、産業や観光振興などへの寄与が期待される。


 三陸沿岸道路は、震災後の平成23年11月に成立した国の第3次補正予算において、従前に計画、事業が行われていた三陸縦貫自動車道、三陸北縦貫道路、八戸・久慈自動車道を一本化し、「復興道路」と位置づけて整備を進めてきたもの。本来、事業化から開通までにかかる平均年数は約18年とされる中、震災後10年での全線開通を目指した。
 青森県八戸市の八戸ジャンクション(JCT)から宮城県仙台市の仙台港北インターチェンジ(IC)までの沿岸部を縦に結ぶ道路となり、県ごとの事業延長は青森県内20㌔、岩手県内213㌔、宮城県内126㌔。
 これまでに青森、宮城の両県は全区間、岩手は気仙の「吉浜IC(大船渡市三陸町吉浜)~陸前高田長部IC(陸前高田市気仙町)」間を含む188㌔が完成し、開通済み。全線に対する供用開始の割合は、93%となっている。
 来月18日に開通する野田久慈道路は、普代村第16地割~久慈IC間を結ぶ上下1車線ずつの2車線道路。当初は、野田IC~久慈IC間が今年の夏、普代村第16地割~野田IC間が年内の開通を予定していた。
 このうち、野田~久慈間は今年3月に発生した切り土のり面の変状対策が必要となり、工期が見直されたが、対策工事が完了。具体的な開通時期を見通せたことから、普代村第16地割~野田間と合わせて供用を開始する運びとなった。
 区間内には、普代北、野田、久慈宇部、久慈南の各ICをはじめ、8カ所のトンネル、14カ所の橋を整備。ICは、野田が上下線で乗り降り可能だが、ハーフ式の普代北と久慈宇部は八戸方面のみ、久慈南は宮古方面のみとなる。
 開通当日は、午前11時から久慈市民体育館で記念式典を開いたあと、同市長内町地内の開通区間道路内で渡り初めなどのセレモニーを行う。供用開始は午後3時の予定。
 同道路の開通により、青森県八戸市から宮城県仙台市までの所要時間は、震災前の8時間35分から5時間13分と、約3時間20分もの短縮が図られる。気仙から県沿岸北部、八戸市へのアクセスも向上され、水産加工業をはじめとする産業や、沿岸各市町村と連携した観光の振興、交流人口の拡大などにも期待が高まる。