人材発掘、地域活性化へ 地元民と意見交わす 町と連携協定結ぶWDL 関係人口創出事業で

▲ 石川さん(中央奥)や商工会青年部メンバーが意見を交わした

 関係人口創出事業に取り組む住田町は23日夜、関係人口創出事業に係る連携協定を結んでいる一般社団法人Work Design Lab(WDL、石川貴志代表理事、東京都)とともに、町商工会青年部との意見交換会を保健福祉センターで開催した。町内産業の現状やニーズを把握して地域課題を明確化し、新たな事業創出や課題に取り組む人材発掘、若者定住につなげていこうとの試み。参加した青年部員からは、将来につなぐまちづくりなどに対してさまざまな意見が出された。今後も意見交換を重ね、地域・産業活性化や関係人口増加、若者定住のための事業の方向性を探っていく。

 

 町は、平成30年度から関係人口創出事業を進めている。関係人口は、都市部から移住した定住人口や観光で訪れた交流人口にとどまらず、都市部などに生活や仕事の拠点を置きながら他地域にかかわる人材。若年層の都市部への流出が進み少子高齢化が止まらぬ中、町では若者の「定住」促進に向け、地域の魅力づくりに関係人口の視点を生かしてきた。
 WDLの石川代表理事は、平成31年2月に同町の一般社団法人・SUMICAが開催したセミナーにゲストとして参加した。これをきっかけに町は令和元年度、2年度の関係人口創出事業に係る「関係案内人」業務をWDLに委託。さらに、応急仮設住宅本町団地を撤去後、その跡地にコワーキングスペース、スタディースペースなどを配する「仕事・学びの場」の整備を見据え、都市部と地方をつなぐ活動などを展開しているWDLと今月15日、「複業およびワーケーション推進に関する連携協定」を締結した。
 協定締結を受けて開かれた意見交換会には、町商工会青年部の佐々木賢部長をはじめ部員5人が参加。地域課題の明確化を図ろうと、意見を出し合った。
 この中で、青年部員からは「子どもたちが地元に残ってくれるためにどうすればいいのかというのは、地元だけの視点だけでは見えづらい。多様な視点が必要だと思う」といった今後のまちづくりについての意見や、「住田は林業のまち。木の大切さを子どもたちに発信していき、小さい子たちが木に触れる機会を作れないか」とする地元が誇る産業を対外的にPRして将来の就業につなげられればという声が上がった。
 意見交換会を終え、石川代表理事は「直接話すことで、若い人たちの、住田をよりよくしたいという思いを感じることができた。お互いが住田の『中』と『外』のつなぎ役になっていけたら」と語った。24日は石川代表理事と町、金融機関、大船渡市農協との意見交換会も開かれた。
 同協定には▽複業人材と、課題を解決したい町内の団体・事業所等とのマッチング支援▽複業人材活用のためのプロジェクト創出▽若者定住率向上のための取り組みへの協力──などが盛り込まれている。
 町では今後、WDLに参加する複業実践者らのスキルや経験を生かし、地域活性化や課題解決、複業人材の活用を推進するとともに、関係人口の協力を得ながら町内既存産業の魅力発掘、地域活性化のためのプロジェクトを行う〝プレーヤー〟を育成するなど、住民が主体となった取り組みの展開につなげていく。