町への配当3400万円程度に 三木、ラン バー問題 債権額約12億4000万円  破産手続きが終結へ

 住田町から巨額の融資を受け、昨年8月に破産手続きが開始された三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)の債権者集会は11月29日、盛岡地裁一関支部で開かれた。三木の破産手続きは同日終結し、ランバーも年明けには手続きが終結する見通しとなった。債権額に対する配当率も示されたが、両組合とも数%にとどまり、町は利息や立木未収金含め約12億4000万円のうち3700万円程度しか回収できないことが明らかになった。

 

 両事業体の債権者集会は非公開で行われ、町をはじめ複数の債権者が出席。
 出席者によると、配当率は三木4・13%、ランバー1・97%。町には、三木に対する債権額約5億9000万円のうち2470万円、ランバーに対する同約6億4000万円のうち1273万円程度が配当される見込みだという。
 神田謙一町長は「一つの区切りとして受け止めたい。今後は、町民の皆さんに不安のない行政運営に努めていく」と話している。
 平成19年に経営危機が判明した両事業体は、町から合わせて約7億9000万円の公金融資を受けて経営再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町に償還する計画だったが、定められた額の償還ができない状況が続いた。
 このため、町は29年、両事業体や連帯保証人に立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てたが不調に終わった。その後、両事業体は事業継続を断念し、昨年7月31日付で盛岡地方裁判所一関支部に破産を申請。同8月14日付で同支部から破産手続き開始決定を受けた。
 現在、ランバーはけせんプレカット事業協同組合の製材工場、三木は集成材工場として稼働している。
 この問題を巡っては昨年10月、町が両事業体の連帯保証人とその相続人計19人に対し、融資の未返済分や遅延損害金など合わせて約10億5000万円の支払いを求める訴訟を同支部に提起した。被告男性1人には今年3月、他の被告との連帯分約5億3000万円などの支払いを命じる判決が出されたが、残る被告は請求棄却を求めて争っている。
 一方、町の過去3度にわたる融資を巡っては今年5月、回収不能であることが明らかであったにもかかわらず融資を行ったとして、前町長と当時の町議に町が損害賠償を請求するよう勧告することを監査委員に求める住民監査請求があったが、「請求の要件を欠く」として却下された。