サンマ水揚げ伸びず終盤へ 市魚市場の数量実績は前年の42% 金額も63% にとどまる
令和3年12月2日付 1面

大船渡市魚市場における今季のサンマ水揚げは、不漁に終わった一昨年、昨年の数量を大幅に下回る実績で推移している。11月末までの累計は2382㌧で、前年同期の42・3%どまり。金額も同62・8%の16億5836万円にとどまる。三陸沖にまとまった漁場が形成されず、しけの影響も重なって厳しい実績となっている。今月も三陸海域の来遊は「低位水準」の予測が出ているほか、海況によっては操業日数が限られ、関係者は「厳しい」と口をそろえる。
大船渡魚市場㈱によると、11月の水揚げは1506・29㌧。前年同月比で58%少なかった。
金額は9億7964万円。全国的な不漁で1㌔当たりの単価は上昇しているが、数量の減少幅が大きいため、15億円を超えた前年同月を36・6%下回っている。
一昨季の最終実績は、水揚げ量が6445㌧で、20年ぶりに1万㌧を割る大不漁に終わった。昨季も数量は6239㌧と前年比で微減だったが、金額は同39・0%増の28億1945万円となり、魚市場全体の46%を占めた。
今季実績は、特に数量減が深刻で、過去最低のペース。例年漁期は12月までとなっているが、漁船関係者からは「限りなく終盤に近い。しけもあって船もこれまでのように、遠く離れた公海までは難しい」「厳しくなっている。全船とも、あと1、2回操業して終わるのでは」といった声が聞かれる。
大船渡での今季初水揚げは8月28日で、数量は昨年を大幅に上回る36㌧。初水揚げとしては平成26年の新施設稼働以降で2番目に多く、幸先の良いスタートを切った。
9月に入っても150㌧の水揚げがあるなど、一昨年、昨年を上回るペースが続いた。しかし、10月、11月はまとまった数量が続かず、伸び悩んだ。
悪天候に見舞われた今月1日朝は、3隻が計42㌧を水揚げ。1㌔当たり670円~508円で取引された。
このうち、「第一○八欣栄丸」(釜石市)は三陸から東に離れた公海で操業し、一昼夜をかけて大船渡に入った。漁船を運営する濱幸水産㈱の濱川幸三社長は「今年はうちに限らず、みんな厳しいのでは。三陸沖に漁場ができず、まとまった漁獲もない」と語る。
大船渡魚市場の千葉隆美社長は「12月は冬型の気圧配置が強まるため稼働日数も制限されると思うが、こちらとすれば少しでも上向くことを期待するしかない」と話していた。
一般社団法人・漁業情報サービスセンターがまとめた第9回サンマ中短期漁況予報によると「12月上旬の三陸海域への来遊量は低位水準」という。
道東海域では、来遊量が少なく、終漁に。三陸海域では、12月上旬には低位水準で推移。12月中旬は断続的な来遊となり、終漁となる。来遊量は前年同様少ない。魚群の多くは、三陸海域の沖合を南下すると予想する。
漁場は、12月上旬~中旬は、三陸南部に形成。12月下旬は漁場が形成されない見込みとなっている。