存在感放つ友好の証し マーライオン像建立 シンガポール政府公認 コミュニティホール前に(別写真あり)

▲ コミュニティホール前に建立されたマーライオン像

除幕式に駆けつけたピーター・タン大使

 東日本大震災後、シンガポールからの支援で建設された陸前高田市高田町の市コミュニティホール前に、同市と同国の友好の証しとなるマーライオン像が建立され、4日、現地で除幕式が開かれた。像は同国政府公認で、関係者が存在感を放つ像の完成を喜び合い、さらなる交流促進を誓い合った。

 マーライオン像はホール正面に立ち、高さは台座を含めて約2・5㍍。除幕式にはピーター・タン駐日シンガポール大使も駆けつけた。
 戸羽太市長は「震災から10年が経過したが、シンガポールとはもっと長く、深い関係を築いていきたい。まちと国で規模は違うが、共生社会を目指しているという共通点がある。きょうは市民とシンガポールの交流をさらに深めるスタート地点だ」と呼びかけた。
 ピーター・タン大使は「シンガポール人として遠く離れた土地で国のシンボルであるマーライオン像を見られてうれしい。像は友好の証しであると同時に、震災復興の象徴でもある。友人である陸前高田の復興を今後も応援していく」と述べた。
 コミュニティホールは、シンガポール政府、同国赤十字社が創設した基金から7億円の支援を受け、平成27年に開館。メーンのホールは「シンガポールホール」と名付けられた。利用者は今年3月末時点で延べ約47万2500人で、市民らに親しまれている。
 同国はコミュニティホールのほかに、夢アリーナたかたや市立図書館の整備支援も手掛けた。大学進学を目指す高校生らをサポートする寄付も行った。
 一方、同市は東京五輪・パラリンピックで、同国の「復興ありがとうホストタウン」「共生社会ホストタウン」になった。物心両面の支援への感謝と絆をさらに深め合うシンボルとして、マーライオン像の建立を目指してきた。
 政府公認の像は、シンガポール国内でも6体しか設置されていないといい、陸前高田市は令和元年9月に公認を受け、今年1月から制作。整備費は約870万円で、全国からの寄付も充てた。御影石製で、同国内で最も有名なマリーナベイ地区の公園内にある像をモデルにデザインした。
 今後シンガポールとのアート交流を計画しているという高田高美術部の千葉恵里子部長(2年)は「マーライオン像ができてとてもうれしい。シンガポールと交流する機会がどんどん増えてほしい」と願った。