釣りイベントで海の清掃も 「テツロー 杯」初開催 大船渡ゆかりの音楽家ら企画 陸前高田などで

▲ 海釣りを楽しみながらごみの回収も行った参加者ら=陸前高田市

 釣りを楽しみつつ海の清掃も行うイベント「TETSU─LAW(テツロー) CUP 2021」(実行委主催)は5日、陸前高田市をメーン会場に開かれた。仕掛け人は、釣り好きのミュージシャンで、幼少時代を大船渡市で過ごしたシンガー・ソングライター、松本哲也さん(45)と、同市のアーティスト・LAWBLOW(ローブロー)の菅原盾さん(42)。釣り客のマナー改善が各地で叫ばれる中、初のイベントで「きれいな釣り場を三陸から発信しよう」と呼びかけた。

陸前高田などで

 イベントは、新型コロナウイルス禍の影響でアウトドアレジャーの釣りを楽しむ人が増えている一方、漁港や海に捨てられるごみも増えている現状を受けて企画。音楽活動の傍ら釣りに親しむ松本さんと菅原さん、東日本大震災後に音楽イベント「タカタフェスタ」を立ち上げ復興支援に携わってきた陸前高田市の清水弥さん(60)ら仲間がタッグを組み、同市の後援も受けて準備を進めてきた。
 各自の釣り場でのごみ回収が参加条件に組み込まれていることが、今イベントの特徴。検量時に拾ったごみを確認できなければ失格になり、順位はほかの釣りイベントと同様に、釣った魚の最長寸で決めた。参加資格は「プロアマ問わず、三陸の海と釣りを愛する人」とした。
 この日は岩手、宮城両県から43人の参加があり、午前6時にメーン会場の同市広田町、根岬漁港に集合。開会式のあと、それぞれ宮城県気仙沼市から大船渡市赤崎町までのエリア内で釣り場を探し、ごみを拾いながら釣りを楽しんだ。
 参加者らは、タイムリミットの午後1時までに同漁港に戻り、検量を終了。受付場所には、ペットボトルや空き缶など、袋に入った多くのごみも集まった。
 閉会式では、優勝から5位までとレディース賞などの受賞者らを表彰。優勝したのは、気仙沼市から参加の鈴木隆ノ介さん(31)。赤崎町内で体長47・9㌢のアイナメを釣り上げ、「〝初代王者〟になれてうれしい。釣り終わったあとに清掃を行うイベントはほかにもあるが、各自の釣り場でごみ拾いをするイベントはなかなかない。ぜひ続いてほしい」と笑顔を広げた。
 釣り場で自分の出したごみを回収しない釣り人は、全国的にあとを絶たないといい、マナーの悪さから釣りや釣り人の立ち入りを禁止するエリアも少なくない。
 菅原さんは「悲しい現状がある中、大好きな釣りが続けられるよう、海を大事にしようという意識を再認識するイベントにできていれば。各地から訪れる釣り人に、三陸のきれいな海も見てもらいたい」と思いを語る。
 松本さんは「はじめは10人ぐらいの仲間でやろうという話だったが、当日には参加者がたくさんいて驚いた。釣り場をきれいにしたいという思いはみんな同じ。ごみはあったら拾う、という意識をここから全国に広げていきたい」と先を見据えていた。