よりよい施設へ意見交わす 滝観洞受付棟の新築に向け 町が第1回ワークショップを開催

▲ 地域が誇れる施設を目指し、地元民らが意見を出し合ったワークショップ

 令和5年度中の完成を目指し、上有住の滝観洞観光センター受付棟の解体・新築工事を進める住田町は17日、五葉地区公民館で施設整備検討第1回ワークショップを開催した。このほど開かれた公募型プロポーザルで決定した設計案を巡って地元住民が語り合い、町内外に誇れる魅力ある施設づくりに向けて意見を交わした。来年2月に第2回のワークショップを行い、地元民らの意見を反映させながら新施設の設計を固めていく。

 

 受付棟の新設工事設計業務は、10月の公募型プロポーザルを経て、アトリエハレトケ・武山大樹建築設計事務所共同企業体に決定。同企業体は「おらいの滝観洞」として人が集い、やすらぎを感じる施設を提案。テラスの設置や、外壁に焼スギ板張りなどの採用も検討している。
 2階建て施設の1階には物販スペースや受け付けカウンター、事務スペース、倉庫を配置。2階には食堂や滝観洞の名物となっている「滝流しそば」の体験スペース、展望ラウンジ、テラスを計画している。
 ワークショップには、アトリエハレトケの長崎辰哉代表取締役と同建築設計事務所の武山大樹代表、町、町観光協会、同町の一般社団法人・邑サポート、地元住民、施設を運営する住田観光開発㈱などから合わせて約20人が出席。2グループに分かれ、「運営側」「住民側」などさまざまな視点から、「どう使いたいか、どういう施設にしたいか」について意見を出し合った。
 この中で、赤ちゃんへの授乳スペース・遊具の設置など、小さな子どもにも配慮した空間を望む声や、「来場者に分かりやすいよう、日本語だけではなく外国語併記の看板・サインがあれば」といったインバウンドを見据えた意見が挙がった。
 このほか、「入洞以外の目的づくり」「リピーター客がほしい」など誘客促進を求める意見も。積雪の多い地区ということもあり、「屋根の雪下ろしは?」といった声も聞かれた。設計者側では、今回、次回のワークショップで出された意見を反映させながら設計を進める。
 滝観洞は日本有数の洞内滝を有する鍾乳洞で、昭和41年に洞窟開きが行われて以来、名物「滝流しそば」や滝観洞観光センターとともに町内有数の観光資源として位置付けられている。
 その周辺は長らく交通の難所とされてきたが、平成20年に釜石花巻道路の「滝観洞インターチェンジ」が供用開始。この効果により、同年〜22年の年間入洞者は1万人以上で推移した。
 東日本大震災以降は4桁台が続いたが、31年3月には釜石花巻道路が全線開通し、三陸沿岸道路とも接続。内陸部はもちろん、気仙両市からのアクセスも向上したことで、同年の入洞者は1万1157人に増えた。
 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発令に伴っての入洞休止、その後のイベント中止もあって昨年度の入洞者は約6800人と2年ぶりに1万人を割った。一方で、昨年度は新型ウイルスの影響によって県外への修学旅行を見合わせた県内小学校の来訪があるなど、新たな客層が生まれている。
 町では、滝観洞周辺の魅力的な環境づくりを通じて持続的な観光振興を実現することを目的とし、老朽化した関連施設の再整備計画案作成を邑サポートに委託し、昨年度、計画が策定された。
 計画ではハード・ソフト両面で段階的に整備を図っていくこととしており、本年度内に基本設計・実施設計を行ったあと、来年度内に既存の受付施設を解体。5年度内に新しい受付施設を完成させ、6年度からの供用開始を目指している。