〝北限のアラメ〟拡大を  市漁協が海藻資源確保へ新事業 アワビの餌として期待

▲ 中間育成したアラメをコンクリートブロックに取り付ける作業=末崎町・門之浜漁港(24日)

 大船渡市漁協(亘理榮好組合長)は、海藻の一種であるアラメを増やす海中林事業に取り組み始めた。アワビの餌となるアラメは、市漁協管内の末崎地先が生育の〝北限〟とされる。釜石市の県水産技術センターで中間育成したものをコンクリートに定着させ、定期的に調査する方針。海水温の上昇やウニの食害などにより、コンブをはじめアワビの餌となる海藻や海中林の減少が懸念される中、今後の成果が注目される。

 

中間育成経て海底に

 

 近年、気仙沿岸ではコンブなどの海藻が減る「磯焼け」が深刻化している。海水温上昇やウニの食害が主な要因とみられ、海藻を餌とするアワビ資源の減少などにつながっている。
 こうした状況を打破しようと、市漁協では令和元年度から、国や県、市が補助する水産多面的機能発揮対策制度を生かし、ウニの駆除やコンブなどによる海中林の設置などを進めてきた。さらに、本年度から5年間を見据え、アラメの海中設置に取り組んでいる。
 アラメは岩礁地帯に生息する多年生の海藻で、寿命は6年程度。魚介類の産卵、すみかなど多種多様な海洋資源を支える点から重要視され、アワビの餌として見てもコンブと同等以上とされる。
 本州沿岸に広く生息する一方、市漁協管内の末崎地先が北限とされる。地元の漁業者の中では「アラメがいるところには、アワビがいる」といった声があり、これまでも試験的に増殖に取り組んだ経緯があったという。
 海底での増殖には、親株となる大きさまで成長させる過程が重要という。今回は、県水産技術センター(釜石市)が本年度に種苗から中間育成したものを活用。潮に流されない対策も求められる中、コンクリートの板やネットにアラメを付け、さらに重さ1㌧のコンクリートブロックに固定して海中に投下し、成長を促す。
 今月24日、末崎町内の2カ所で、漁協組合員が中心となってコンクリートブロック10基への設置作業を実施。同日中に、沿岸部に投下も終えた。
 株分けできるほどの成長を期待するだけでなく、その過程でアワビが餌として食べる流れも描く。今後は随時、海中でのモニタリングなどで生育状況を確認し、次年度以降の事業につなげる。
 来月には赤崎支所管内の設置も計画しているが、「テストピース」と呼ばれる小型で入手しやすいコンクリート材にアラメを定着させ、事業の効率性などを調べる。市漁協管内で種苗から中間育成するノウハウの確立も、今後のカギとなる。
 市漁協の菊池義和末崎支所長は「成果が出るまでは時間がかかるだろうが、今後の推移を見守っていきたい。定着によってはアワビの稚貝放流などもより効果的に行えるのではないか。少しでも磯焼け防止が進み、漁業資源の確保につながれば」と話している。