2021気仙この一年/記者の取材ノートより【総集編】
令和3年12月31日付 1面

令和3年 きょう閉幕
震災から10年の節目に
新型コロナ影響長期化
令和3年(2021)も、きょうを残すのみとなった。東日本大震災から10年となった今年は、三陸沿岸道路をはじめとするハード整備の多くがゴールを迎え、「ポスト復興」の新しいステージに一歩踏み出した。一方で、コロナ禍の収束は見通せないまま。ワクチン接種が飛躍的に進むも、感染症対策をとりながら過ごす日々はしばし続きそうだ。今年の気仙を月ごとの主なニュースで振り返る。
1月
▽第46回東海社会文化賞に、長く「酒林」の製作を続ける近江一史さん(86)=大船渡市日頃市町=と、住田町世田米で昭和橋の草取り活動を継続している老人クラブ・愛宕喜楽会の1団体1個人が決定
▽高田高女子バレーボール部が第73回全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)に7年ぶり22回目の出場。1回戦で岐阜商に敗れるも伝統の拾ってつなぐバレーを見せた
▽陸前高田市が高田、今泉両地区で進める市街地復興土地区画整理事業で、かさ上げ地の宅地すべての引き渡しが完了
2月
▽県教委が新たな県立高校再編計画後期計画(令和3~7年度)最終案を公表。気仙は現行の4校13学級体制を維持
▽大船渡市内で二つのクラスターが確認されるなど、新型コロナウイルス感染症が拡大。市は「感染拡大防止特別期間」を設定して公共施設休館などの措置をとった
▽大船渡市議会議長の議員辞職に伴い、第22代議長に三浦隆氏が就任
3月
▽東日本大震災から10年。各地で追悼行事
▽天皇皇后両陛下がオンラインで本県被災地をお見舞い。陸前高田市民との懇談も
▽気仙でも新型ウイルスのワクチン接種始まる
▽大船渡市三陸町吉浜地区で計画されている太陽光発電事業の土地賃貸借契約を巡り、地元住民有志が虚偽有印公文書作成罪などにあたるとして市長と副市長を県警本部に刑事告発
▽陸前高田市竹駒町の滝の里仮設住宅団地で全世帯の退去が完了。これにより、県内で1万3984戸が整備された応急仮設住宅すべてが解消した
4月
▽大船渡市の赤崎中と綾里中が統合し、東朋中として開校。初年度は全校生徒111人でのスタート
▽陸前高田市の川原川で県による河川改修が完了し、両岸に市が整備した川原川公園もオープン
▽大船渡市が「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」の対象自治体に
▽新築整備された住田町の上有住地区公民館で落成式
5月
▽陸前高田市高田町の中心市街地に移転新築した新市庁舎が開庁
▽太平洋セメントが住田町上有住などで展開してきた袰下鉱山開発工事が完了。向こう100年間にわたって石灰石の採掘が可能と見込まれる
▽各市町で新型ウイルスワクチンの集団接種始まる
▽高田松原で計4万本のマツ苗木の植栽が完了
▽千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手がプロ初勝利

東日本大震災から10年。陸前高田市では7階建ての新しい市庁舎が完成し、5月に開庁を迎えた

太平洋セメントが原料の長期確保を視野に住田町上有住などで展開してきた袰下鉱山開発工事が完了。4月に操業が始まり、5月には竣工式も催された
6月
▽東京2020オリンピック聖火リレーが気仙両市でも行われる
▽住田町世田米の「栗木鉄山跡」を国の史跡に指定するよう文化審議会が文部科学大臣に答申
7月
▽陸前高田市の県立野外活動センター・ひろたハマラインパークの全施設が利用可能に
▽任期満了に伴う住田町長選が告示され、無投票で現職・神田謙一氏が2度目の当選
▽再生工事が行われた陸前高田市の高田松原で海開き。震災前年の平成22
年以来11年ぶり
▽津波復興祈念公園内にある道の駅「高田松原」の来場者が累計100万人を突破
▽陸前高田市立博物館が完成。来年秋ごろの開館を目指す
8月
▽東日本大震災の津波で全壊した陸前高田市気仙町今泉地区の県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」の復旧工事が本格化
▽気仙3市町で東京2020パラリンピックの聖火フェスティバル県内採火式
▽県内での新型ウイルス感染症拡大を受け、県が独自の緊急事態宣言を発出
▽新型ウイルスで気仙初の職場クラスターが発生。1日当たりの新規患者数も22人と過去最多に
▽住田町世田米赤畑地内の国道107号沿いに「イーガストすみた」プレオープン
9月
▽国道107号の大船渡市~住田町に位置する白石峠区間の整備で、県が「事業を実施する」と結論。令和4年度から10年間での整備を計画
▽大船渡市の綾里漁協が県の委託を受けて行っているウニ畜養調査で、LEDライトを用いて放精・放卵に伴う身溶けを抑制する実証に成功。本県初となる9月出荷を実現
▽県が新型ウイルス緊急事態宣言を解除 ▽大船渡商工会議所が木造千石船の復元船「気仙丸」を大船渡市大船渡町・おおふなぽーと付近の市有地に移設
10月
▽大船渡市が赤崎町の漁村センター内で整備を進めてきた防災学習館の運用開始
▽海藻関連製品の製造などを手掛ける理研食品㈱が陸前高田市米崎町の脇之沢漁港で整備を進めていたスジアオノリの陸上養殖施設が本格稼働
▽陸前高田市で三陸花火競技大会。全国の花火師が腕を競う大会としては三陸沿岸で初開催
▽一般社団法人Japan Innovation Challengeが住田町でドローンによる夜間捜索支援サービスの提供を開始
▽岸田文雄首相が就任後初めて気仙両市を訪問
▽県が住田町で初めてとなるナラ枯れ被害の確認を公表
▽第49回衆院選岩手2区で自民党前職の鈴木俊一氏(68)が新人2候補に大差をつけて当選。通算10選を果たす
11月
▽ゆかりがあるアスリートを市民をあげて応援しようと、大船渡市や各種団体の関係者による「大船渡アスリート応援団」発足
▽大船渡市が整備を進めてきた赤崎地区多目的広場が供用開始
▽大船渡市の盛川漁業協同組合が猪川町内に整備した新養殖施設で、新たな漁業資源として注目される「トラウトサーモン」の中間育成試験事業が本格化
▽大船渡市と三陸町の合併から20年
▽大船渡市の簡易水道事業を巡る収賄容疑で元市職員が平成31年1月に逮捕された事件をめぐり、市が同事業の委託業務を調査した結果、平成22~30年度に市内3事業者との契約で総額約1億4200万円に及ぶ架空・水増し請求が見込まれることが判明
▽東日本大震災の津波で犠牲となった陸前高田市職員の名前を刻んだ刻銘碑を市庁舎敷地内に建立
▽気仙3市町で新型ウイルスワクチンを2回接種した12歳以上の割合が90%突破
12月
▽住田町が応急仮設住宅クロージングセレモニーを開催
▽大船渡へのサンマ水揚げ量(11月30日現在)が前年同期比58%減に。通年でも低水準だった前年を大幅に下回る大不漁で終漁
▽新型ウイルスワクチンの3回目接種スタート
▽大船渡への秋サケ水揚げ量が前年同期比84%減(12月20日現在)と記録的な不漁に
▽三陸沿岸道路(青森県八戸市─宮城県仙台市、延長359㌔)のうち、未開通となっていた普代村と久慈市の区間が供用開始し全線が開通
▽国、県、陸前高田市が一体となって整備を進めてきた高田松原津波復興祈念公園が全面供用を開始