サンマ水揚げ令和3年実績 平成以降で最低水準に 大船渡は2471㌧(前年比60%減)

▲ 厳しい実績に終わった本年度のサンマ水揚げ(昨年11月4日)

本州トップの座は維持

 

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は7日、令和2年・3年の対比サンマ水揚げ状況(12月31日現在、最終値)を発表した。大船渡市魚市場の水揚げは、数量が前年同期比60%減の2471㌧で、平成以降で最低実績に。金額は同39%減の17億829万円で、単価上昇があったものの数量大幅減の影響を補えなかった。苦境が続いた中でも、地元漁船や水産加工業の積極的な動きもあり「さんまのまち」として数量、金額とも本州トップの座は維持した。

 

 全さんまによると、先月末現在での全国の総水揚げ数量は前年同期比38%減の1万8291㌧で、金額は同20%減の113億4976万円。1㌔当たりの単価は620・5円で、前年同期の約1・3倍となった。
 数量は、北海道分が1万1945㌧で、前年比3%増。ただ、令和元年度は2万㌧台だっただけに、回復にはほど遠い。本州合計は6346㌧で、前年の35%にとどまった。金額は北海道分が70億3269万円で同10%増、本州合計は43億1707万円で、同45%減となった。
 県内の水揚げ量は同62%減の2852㌧。このうち、大船渡が2471㌧と8割以上を占める。地元漁船や、サンマを取り扱う水産加工業者の強さが反映された形となった。
 大船渡は本州で見ても、数量、金額ともトップを維持。2年度は本州数量に占める割合は34・7%だったが、本年度は大船渡以上に本州各地の落ち込みが大きく、38・9%に上昇した。
 大船渡での今季初水揚げは昨年8月28日で、数量は前年を大幅に上回る36㌧。初水揚げとしては平成26年の新施設稼働以降で2番目に多く、幸先の良いスタートを切った。
 9月に入っても150㌧の水揚げがあるなど、一昨年度、昨年度を上回るペースが続いた。しかし、10月、11月はまとまった数量が続かず、伸び悩んだ。水揚げ船隻数は107隻で、昨年より92隻(46%)下回った。
 今季は三陸沖での実績はほぼゼロのまま推移し、公海での操業が続き、最も近い北海道の花咲に水揚げがまとまる形に。全さんまの大石浩平専務理事は「漁場が遠く、群れも薄かった。来季に向けては資源回復をはじめ、状況の改善を期待するしかない。今季は外国船も厳しい状況だったようだ。資源管理は、日本だけの動きだけではなく、国際的な対応が求められる」と話す。
 全さんまによると、大船渡のサンマ水揚げ数量は震災前の平成20年度が3万400㌧、21年度が2万8995㌧、22年度が2万1687㌧。震災で同魚市場も大きな被害を受けた23年度は1万8438㌧、翌24年度は2万385㌧となり、25年度は1万4585㌧に落ち込んだが、26年度は2万7133㌧と持ち直した。
 しかし、27年度から再び低迷。令和元年度以降は、1万㌧台が遠い状況が続く。本年度は5700㌧台の平成11年を大きく下回り、平成以降では最低水準。大船渡市魚市場では開設した昭和26年度と、同51年度にそれぞれ2000㌧台の実績があるという。