「きょうからがスタート」 修了生が成果を発表 大船渡ビジネスアカデミー第4期が閉講 (別写真あり)
令和4年1月22日付 7面

大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)による市内の中小企業経営者や後継者らを対象とした第4期「大船渡ビジネスアカデミー」の成果発表会・閉講式は21日、同商議所で開かれた。昨年10月から学んできた受講生は、成果として小規模店の売り上げ拡大や販路拡大策のアイデアをグループ別に発表。新たなビジネス展開を見据え「きょうからがスタート」と誓い合った。
ビジネスアカデミーは、東日本大震災後に変化する市場環境に適応するとともに、将来の地域経済の中核を担う経営人材を育成しようと、平成29年度に開設。第3期までに26人が修了している。
新型コロナウイルスの影響で昨年は見合わせたため、2年ぶりの開催。これまでは中長期的な経営計画の立案を検討する中小企業の経営者や後継者を主な対象としていたが、今回は経営幹部や経営幹部候補者も対象に加えた。
第4期修了生は13人。昨年10月に開講し、全7回の日程で、経営戦略や管理会計、経営力強化、マーケティングなどを学んだ。
最終日の成果発表会には、受講生のほか商議所や後援団体、行政の各関係者、修了生ら約40人が出席。修了生は3グループに分かれ、受講で得た知識やヒントなどを生かし、筆記具を扱う架空の小規模店の事業計画を提案した。
全国的にも、筆や硯を扱う店舗が減少し、店舗が古民家風といった〝特長〟も事前に設定。各グループは高級筆記具のインターネット販売や、プロ向けの専門店として対応していくための事業展開、古民家風の店舗を生かしたカフェの業態転換による事業再構築を提案し、具体的な戦略も説明した。
発表後には、会議所幹部や後援する金融機関の関係者が講評。具現化に向けたアドバイスが寄せられたほか、計画にはない視点の重要性も浮かび上がり、受講生は終始熱心な表情で耳を傾けた。
これまで講師を務めてきた㈱髙橋コンサルティングオフィス代表取締役で中小企業診断士の髙橋雅裕氏は「かなり大胆な発表が多いが、自社で行うとなると難しいのでは。自分のところでも、大きな成果を得られるようなチャレンジを。きょうからがスタート」と語りかけ、期待を込めた。
閉講式では、米谷会頭が修了生に修了証書を授与。戸田公明市長が「社内や地域のリーダーとして、市内経済の発展に大きく貢献してほしい」と祝辞を述べた。
修了生を代表し、㈱松屋取締役の門田晃明さん(48)が「受講料負担がなく、会議所をはじめさまざまな方の支援を受けた。青年経済人として、地域に還元していくことが恩返し」とあいさつ。閉講式後には修了生らによる記念撮影も行われ、第4期修了生としての交流継続も誓い合った。
受講した㈲東環代表取締役の磐井公洋さん(39)は「新しいことを考えなければならないのは分かっていたが、どういうアプローチで進むべきかを学ぶ機会はこれまであまりなかった。今やっている事業の成長や、切り捨てるべき部分にもしっかり対応していきたい」と話していた。