グリスロ今春本格導入へ 市が運行計画固める 新たな移動手段に期待

▲ 大型連休から本格運行するグリスロ(写真は令和2年度の実証実験)

 陸前高田市は、4月末からの大型連休に本格運行する電動バス「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」の運行計画を固めた。時速20㌔未満で公道を走れるもので、土・日曜日、祝日は中心市街地と集客施設を30分間に1便程度周遊し、500円で1日乗り放題とする。平日は気仙町、高田町の災害公営住宅2団地と市街地を1時間に1便程度走らせ、運賃は1乗車につき100円。環境に優しくゆっくり景色を楽しめる観光客や高齢者らの新たな移動手段として期待が集まる。

 

休日…観光客向け
平日…市民の足に

 

 21日に高田町の市コミュニティホールで開かれた市地域公共交通会議で計画案を協議し、原案通り決めた。
 市によると、導入する車両は7人乗り(乗客定員6人)の2台。陸前高田しみんエネルギー㈱や市観光物産協会など5団体でつくる一般社団法人・陸前高田グリーンスローモビリティ(小出浩平代表理事)が運行主体となり、市が車両を無償貸与する。
 休日は観光客をターゲットに、核となる集客施設の道の駅「高田松原」から周辺エリアへの周遊を促すルートを計画。道の駅、陸前高田発酵パークカモシー、ワタミオーガニックランド、中心市街地を経由し、午前9時〜午後5時の間30分間隔で運行する。
 平日は、高齢者や障害者を含めた市民の移動の足として活用する。ルートは2路線で、一つは市営今泉団地とアバッセたかたや市役所、陸前高田駅を、もう一つは市営中田団地とイオンスーパーセンター陸前高田店、陸前高田駅を循環する。午前9時〜午後5時の間それぞれ1時間間隔で走る。
 グリスロは環境への影響が小さく、狭い路地などを通行可能な小さな移動サービスで、その車両も含めた総称。交通課題の解決や低炭素型交通の確立が期待されており、国が普及を進めている。
 世界共通の「SDGs(持続可能な開発目標)」達成に向けた取り組みに力を入れ、国の「SDGs未来都市」に選定されている同市は令和元年度、2年度に導入を見据えた実証実験を実施した。
 2年度の実証実験は10人乗り1台を使って2週間行われ、延べ571人が乗車。市による利用者アンケート(延べ243人回答)では、全体の70%が「満足」、22%が「どちらかといえば満足」と答え、「不満」はゼロ。「グリスロが必要」、または「将来的には必要」と回答したのは85%に達した。
 市は当初、10人乗り1台の導入を計画していたが、実証実験で5人前後の利用が多かったことから、車両規模などを再検討。6人定員の2台に切り替え、回遊性を高めることにした。
 陸前高田グリーンスローモビリティは今後、ドライバーを募り、本運行までに乗車体験会の開催なども検討していく。
 小出代表理事は「陸前高田では心と心をつなぐさまざまな取り組みが進むが、グリスロもその一つとして定着させたい。未来を担う子どもたちに『陸前高田ではこんなバスが走っているんだよ』と誇れるようなものとなればいい」と見据える。