二又─ 小黒山間 デマンド交通導入へ 路線バスルート変更で4月から 公共交通会議で方針決める

▲ 来年度の運行方針案を協議した地域公共交通会議

 陸前高田市地域公共交通会議(会長・舟波昭一副市長、委員24人)は21日、高田町の市コミュニティホールで開かれ、令和4年度の地域公共交通運行方針を決めた。県交通㈱の路線バス「小黒山経由生出線」は4月にダイヤ改正され、運行ルートのうち二又─小黒山間が廃止となる。代わりに予約型の乗り合いタクシー「デマンド交通」を同エリアで導入し、交通空白地域の解消を図る。エリア別に循環している「たかたコミュニティバス」は、3路線から東西の2路線に統合する。
 同会議には委員22人が出席。議事では4年度の運行方針案などを協議した。
 小黒山経由生出線は、矢作町二又で分岐する同町的場、小黒山方面と米崎町までを結ぶ。利便性向上や地域の要望などを受け、4月から二又─小黒山間の5停留所を廃止し、矢作町内の運行ルートを的場方面に一本化する。停留所は41カ所から36カ所になり、上限500円の運賃や1日6便(3往復)の運行本数は維持する。
 二又─小黒山間の沿線住民(行政区=矢作町15、16区)に対しては、代替としてデマンド交通を利用できるようにする。予約者の自宅を順番に迎えに行き、乗り合い式で目的地の停留所まで送るサービスで、運賃は1乗車300円(小学生、介護人150円、未就学児、障害者無料)。土・日曜日、祝日を除く1日4便(2往復)を予定している。
 たかたコミュニティバスは現在、タクシー会社2社が▽今泉▽中央▽米崎──の3循環線を運行しているが、高田町・米崎町方面の「東部」と、高田町・気仙町今泉地区などを巡る「西部」の2循環線に再編し、運行の効率化を図る。使用車両と運賃は変わらず10人乗り、1乗車200円(小学生、介護人100円、未就学児、障害者無料)。東西ともに1日3回転する。
 4年度の運行方針では、▽新しい道路の供用開始に併せた路線の再編▽「幹」と「枝葉」の役割分担による運行の効率化▽地域の共助を生かした新たな交通手段の取り組みを支援──の三つを基本的な考え方に据えた。市内では公共交通とは別に、住民が高齢者を送迎する地域主体の取り組みも進められている。
 市地域公共交通会議は、市や岩手大、国、県、警察、バス・タクシー会社、商工会、社協など各種団体の関係者で構成。地域の実情に応じた乗合旅客運送の態様や運賃、料金に関する事項などを協議し、方針を決めている。
 舟波副市長は「市内では生出地区や広田地区で路線バスを利用する乗車体験会も行われている。免許返納後を見据え、既存の公共交通に実際に乗り体験してみるという取り組みも広げていきたい」と話した。