元市職員と2業者を提訴 簡易水道事業巡り1.2億円超の損害賠償請求

 大船渡市の簡易水道事業を巡り総額約1億4200万円に及ぶ架空・水増し請求が見込まれる問題で、市は25日までに、盛岡地方裁判所に訴状を提出した。元市職員と2事業者に対し、計1億2200万円余りの損害賠償を求める。
 平成31年1月、市が発注した簡易水道事業の業務委託で便宜を図った見返りに約30万円を受け取ったとして、当時市簡易水道事業所技監(課長級)だった元市職員=赤崎町=が収賄容疑で、建設会社代表取締役(業者A)=猪川町=が贈賄容疑で逮捕。ともに執行猶予付きの有罪判決が出た。
 事件を踏まえ、市が設置した第三者委員会から提出された報告書や市議会全員協議会では、架空発注の疑いが指摘されていた。これを受け、簡易水道事業所が創設された平成22年度から逮捕された30年度までの全委託業務で調査し、架空発注などの有無を調べたところ架空・水増しの疑いを確認。昨年11月の臨時議会で提訴関連の議案を提出し、可決された。
 業者Aと元職員への損害賠償請求は213件で計4894万円。業者B=立根町=と元職員には185件で計4975万円。市によると、調査時には両業者とも不法行為を否認していたという。
 さらに、元市職員と業者C=三陸町綾里=が絡む案件は、元職員のみに2444万円を請求。被害額は150件で計4300万円と想定されるが、業者Cはすでに、市に1861万円を返還。市と業者Cとの間では和解が成立した。
 原告となる市側の訴訟代理人は、宮城県気仙沼市の小笠原一男、山本桂史両弁護士。市は当初、先月中に提訴する見込みを示していたが、架空・水増し疑いの件数が多く、精査に時間を要したという。初公判などの日程は未定。
 損害賠償の請求額などは別掲。