空手で粘り強さ身に付けて 三陸町綾里在住の佐々木イザベルさん(フランス出身・元市協力隊員) 大船渡道場立ち上げ指導(別写真あり)

▲ 手本を示しながら子どもたちに空手の技を指導するイザベルさん㊧

 フランス出身で大船渡市三陸町綾里在住の佐々木(旧姓・プロヴォ)イザベルさん(42)は公益社団法人日本空手協会の「大船渡道場」を立ち上げ、猪川町の猪川地区公民館で週2回、先生として子どもたちと大人を指導している。フランスで幼少期に始めた空手は四段の腕前で、粘り強さ・心の強さを身に付けてほしいと辣腕を振るう。

 

 「押忍!1、2、3!」「基本通りきれいな技をやってね!」。イザベルさんのハリのある声が道場内に響き渡る。キレのある動きで基本の技、形、組手などの手本を示し、子どもたちに手取り足取り教える。
 現在は幼児・小学生6人と大人3人が通っている。先生は明るい人柄で日本語も堪能。平山大惺君(立根小1年)は「稽古は楽しい。先生がかっこいい」と元気に稽古に励む。
 イザベルさんは、フランスの首都パリから南東に車で1時間超のナンジ出身。6歳の時、二つ年上の兄と一緒に町にあった道場で空手を始めた。大学時代の平成14年に留学で初来日。初めて訪れる空手の〝本場〟はみんな空手をやっていると思って心を躍らせたが、「あまり道場がなく、他のスポーツをやっている人のほうが多くて心が折れたよ」と笑う。
 大学卒業後の同17年から日本に移り住み、東京都内でコンサルティング会社や製薬会社に勤めながら日本空手協会の総本部道場に所属。腕を磨き続け、28年に同協会(松濤館流)四段を取得した。指導員B級資格も持つ。
 23年の東日本大震災後は米国のオールハンズ・ボランティアズの一員として大船渡を訪れ、復興支援活動に携わった。定期的に来市し、令和元年5月に市地域おこし協力隊員として着任。道場は着任当初から開いてきた。
 一昨年12月には道場に通う三陸町綾里の漁業・佐々木淳さん(50)と国際結婚。その後、淳さんも初段に合格し、〝黒帯夫妻〟となった。イザベルさんは協力隊員としては昨年4月末で退任したが、大船渡に定住し、淳さんのホタテ養殖を手伝いながら個人事業も立ち上げ、市の情報発信などを引き続き担っている。
 イザベルさんは今後、道場の受講生を増やし、「日本空手協会大船渡支部」としての立ち上げを目指している。
 自身は空手を続けてきたことで「粘り強さが勉強や仕事で役に立った」と振り返り、子どもたちには「うまくいかなくても諦めない粘り強さを空手で身に付け、達成した時のうれしさも感じてほしい。挑戦するマインド(精神)を養い、心を強くしてほしい」と願う。
 稽古は毎週月曜日と木曜日で、子どもは午後6時30分〜7時30分、大人は同7時30分〜8時30分。見学、体験は随時受付中。問い合わせはイザベルさん(provostisaofunato@gmail.com)へ。