支援の〝隙間〟埋める活動へ 2団体にNPO認証 地域課題解決へ新組織

▲ 認証交付を受け、今後の活動充実を誓い合ったプラスワンハピネスやきょうせい大船渡の関係者

 大船渡市による特定非営利活動法人(NPO法人)設立認証書交付式は3日、市役所で行われた。交付を受けたのは、東日本大震災直後から続く社会的弱者への伴走型支援を継続させる「きょうせい大船渡」(佐々木敦子代表理事、盛町)と、障害児向けの療育プログラムや交流機会創出などを通じて社会的自立を支援する「Plus One Happiness(プラスワンハピネス)」(横沢友樹理事長、立根町)。両法人は、現状では支援が届かない〝隙間〟や、課題となっている分野に手を差し伸べる活動に意欲を見せる。

 

きょうせい大船渡…伴走型継続で孤立防止

プラスワンハピネス…障害児療育の充実図る

 

 交付式には、きょうせい大船渡の佐々木代表理事(66)と熊谷新二事務局長(58)、プラスワンハピネスの横沢理事長(40)と高橋大輝副理事長(39)が出席。戸田市長が両法人に認証書を交付し、今後の地域に根ざした活動に期待を込めた。
 きょうせい大船渡は、公益財団法人・共生地域創造財団のスタッフらで構成。同財団は震災直後の平成23年3月から物資支援活動を展開してきた。翌年からは在宅被災者の実態把握や見守り支援を行い、その後は課題解決型への支援と移行した。訪問活動を通じて、被災者の仮設住宅からの円滑な支援などに貢献した。
 同財団は震災10年を機に、中間的な支援を全国展開させることになったが、きょうせい大船渡は引き続き、市内で直接的な支援にあたる。行政や福祉が十分に対応しにくい部分を担う伴走型支援を続け、孤立防止につながる活動を展開する。
 新年度も、震災で被災した障害者や高齢者、外国人、難病患者らの支援活動に力を入れる方針。見守り訪問や生活支援に加え、気軽に集まることができる居場所づくりを進める。
 同財団では、大船渡事業所の統括を務める佐々木代表理事は「引き続き、制度のはざまに立つ方々の支援を行いたい。人や地域への伴走型支援を継続し、伴走者も増やしていきたい。支え合いが張り巡らされたまちにしていくことができれば」と、今後の活動に意欲を見せる。
 プラスワンハピネスは、障害児やその家族に交流や療育機会を提供する事業に加え、社会的自立を援助する活動を行うほか、成人期も安心して暮らせる地域社会づくりへの寄与を見据える。
 県内では、さまざまな支援やサービス拠点が内陸部に集中する傾向があり、家族会などの組織もほとんどが盛岡を拠点とし、気仙や釜石などの沿岸部は手薄な状態に。また、成人期や親が亡くなった後の支援提供が少ない現状も課題となっている。
 今後の活動では、県沿岸部では先行事例がない障害児向け早期療育プログラムや、障害児とその家族、健常児との交流の場などを提供。社会的自立への支援に加え、病気や障害に対する知識の啓発活動なども行うことにしている。
 医師として県立大船渡病院救命救急センター長も務める横沢理事長は「まずは、ダウン症の子どもたちの支援、情報提供をやっていきたい。家族会の代わりとなる団体として、交流の場やイベントなども開催できれば」と語る。