存在感放つ一本松の根 道の駅高田松原前で13日まで展示(別写真あり)
令和4年2月6日付 7面
陸前高田市は5日、気仙町の道の駅高田松原で東日本大震災遺構「奇跡の一本松」の根の展示を始めた。市内での展示は今回が初めて。多くの市民や観光客が訪れる同道の駅で存在感を放つ根を披露し、震災の教訓伝承、風化防止を図る。13日(日)まで。
市によると樹齢173年で、根の大きさは高さ約2㍍、幅約7㍍。同道の駅正面出入り口前に設置した。
宮城県気仙沼市から訪れた50代女性は「道の駅にはよく来る。一本松は何度も見たが、根は初めて。とても大きく、だからこそ津波に襲われても立って残ったのかなと感じた」と見入っていた。
一本松は、震災の津波で流された名勝・高田松原の約7万本あったとされる松林のうち、唯一残った同市の復興のシンボル。震災翌年の平成24年5月に枯死が確認され、市は枝葉のレプリカを幹に取り付けたり、防腐処理を行うなど、25年6月にモニュメントとしての保存作業を完了した。
一本松は、同道の駅や震災津波伝承館、国営追悼・祈念施設が入る広さ約130㌶の高田松原津波復興祈念公園内にあり、多くの人が見物に訪れている。新たな松林の再生も進められ、県とNPO法人・高田松原を守る会による4万本の苗木を植える作業は昨年5月に完了した。
一本松の抜根作業は、モニュメント化に伴い行われ、米崎町内にある市所有の倉庫に保管してきた。市は同祈念公園の全面供用開始を受け、市民らに見てもらう場をつくろうと今回の展示を企画した。
3月上旬には東京都内での展示(㈱内藤廣建築設計事務所、一般社団法人倫理研究所共催)を予定している。