たかたのゆめ 3年産収量272㌧ 反収増で過去2番目に コロナ禍も販売好調
令和4年2月6日付 1面
陸前高田市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の令和3年産収量は、約272㌧と過去最多となった2年産に次ぐ2番目の実績となった。作付面積は前年より縮小したが、反収(10㌃当たり収量)が前年を上回った。この数年は比較的ばらつき無く260~280㌧で推移し、年間300㌧の目標に近づく。新型コロナウイルス禍の影響で全国的に「米余り」の問題が深刻な中、たかたのゆめの販売は好調といい、関係者は「生産者の励みとなる」と話す。
市によると、3年は前年比5農家減の37農家(法人含む)が生産。作付面積は同4・2㌶減の58・7㌶、反収は同7㌔増の462㌔だった。
収穫は例年同様、9、10月に行われ、カメムシによる被害があったが、おおむね順調に収穫。反収増の要因として市は、東日本大震災で被災した復旧水田の地力向上などを挙げ、担当者は「復旧田に限らず、各農家の生産努力も大きい」と話す。
本年度は、地元の子どもたちに親しんでもらおうと、学校給食の米飯を全量たかたのゆめに切り替えた。昨秋には市が友好協定を結ぶサッカーJ1・川崎フロンターレ選手食堂で通年で使われる米に採用され、年間取扱高20億円を誇るJA全農の産地直送通販サイト「JAタウン」にも出品し、PRしている。
たかたのゆめは、静岡県磐田市にある日本たばこ産業(JT)植物イノベーションセンターに保存されていた種もみ「いわた13号」から誕生。「ひとめぼれ」と「いわた3号」をかけ合わせた東北向け品種で、同社が陸前高田市に種もみを無償提供し、平成25年から生産が始まった。
冷めてもかたくなりにくいのが特徴で、おにぎりの特性を生かす米として、一昨年、日本おにぎり協会の「おにぎりに適する食材」第1号に認定された。年間収量は26年以降、197㌧だった28年を除いて200㌧台で推移。将来的には300㌧を目指している。
生産者らでつくる「たかたのゆめ」ブランド化研究会の佐藤信一会長は「農協や市をはじめ関係機関のおかげで3年産の販売もめどがつき、コロナで農業分野が苦しんでいることを踏まえれば、大変ありがたいことだし、励みとなる。今後も生産拡大、販路開拓に努め、他の地場産品のPRにもつながるようなブランド米に成長させていきたい」と力を込める。
年別の作付面積、収量は別掲の通り。
米農家向け支援金の申請受け付け
陸前高田市は、新型コロナウイルス禍に伴う米価下落への支援として支給している独自支援金の申請を受け付けている。
対象は、▽主食用米の作付面積が10㌃以上▽平均反収(492㌔)に作付面積を乗じた標準収量の半分以上を出荷している▽収量の半分以上を農協などに出荷している──をすべて満たす農業者(法人や営農組合を含む)。
支給額は10㌃につき6000円で、50万円を上限とする。申請の受付期間は当初、1月中旬までだったが、コロナ禍の長期化を踏まえ、3月上旬までに延ばした。
問い合わせは、市農林課農政係(℡54・2111内線476)へ。