未利用資源活用を 五葉地域づくり委員会がカエデの樹液採取開始 メープルジュース製品化へ
令和4年2月10日付 6面

住田町五葉地区の地域協働組織・五葉地域づくり委員会(藤井洋治会長)は、地域内にある未利用資源を活用して商品を開発しようと、イタヤカエデの樹液採取を開始した。今後、地域内の10カ所で樹液を採取し、これを使った「メープルジュース」の製品化に取り組む。完成は年度内を見込んでいる。
同委員会は、町が進める「小さな拠点づくり」の一環で、平成29年度から活動を本格化。地区内で増えつつある遊休農地の活用を進めようと、サツマイモの栽培やウメの植樹を行ってきた。昨年は、栽培したサツマイモでジャムを製作。住民からも高評価を得て、地域内で開かれる産直市でも販売している。
カエデの樹液を使った製品開発も、地域内の資源活用の一環。イタヤカエデの樹液は、2月上旬から3月上旬にかけての1カ月間採取でき、1本の木から20〜30㍑程度の採取が見込まれる。ドリルを使って木に深さ3㌢ほどの穴を開け、ホースとポリタンクをつないで放置することで少しずつ樹液がたまっていくが、穴は自然にふさがるため木へのダメージも少なく、「持続可能」な取り組みにもつながる。
今回、同委員会では私有地も借り受けながら10カ所に樹液採取用の容器を設置し、3月上旬ごろに回収する計画。その後は町外の業者に製品化を委託し、年度内には完成する見込み。完成後は地域住民に試飲してもらう機会を設けたい考え。
イタヤカエデの活用にあたっては、藤井会長もメンバーとなっている住田食材研究会(及川喜悦会長)が5、6年ほど前からメープルシロップの製造に着手。シロップを作るには樹液を40分の1ほどにまで煮詰める必要があるため、同研究会では「濃縮せずに、採取したものを100%使える方法はないか」と考え、ビールに着目し、昨年、採取した樹液を使ったビール「メープルエール」を開発・製品化した。
昨年はオンラインでの試飲会も開き、参加者からは「独特な甘みの中にさわやかさがあっておいしい」「若い女性が好きな味ではないか」と高評価を受けた。同研究会でも事業の採算性・可能性などを見極めながら商品化への道や地域資源の活用策を探るなど、イタヤカエデに光が当てられている。
藤井会長は「イタヤカエデは地域内に豊富に存在しており、非常に有益な可能性を秘めている」と期待を込める。