地域振興へ連携覚書締結 市とJICA 国際協力推進にも注力

▲ 連携覚書を締結した(右から)戸羽市長、北岡理事長、小林所長

 陸前高田市と国際協力機構(JICA、北岡伸一理事長)は10日、国際協力の推進や東日本大震災からの復興、地域振興に向け、将来にわたり連携する覚書を締結した。市はJICA海外協力隊の派遣前候補生らを受け入れて地域課題を学ぶ場を提供し、国際理解教育にも力を入れる。JICAは開発途上国での取り組みのノウハウ共有、地方創生推進への助言・参画などを展開していく。
 覚書の締結式は市役所で行われ、北岡理事長や同機構東北センター(JICA東北)の小林雪治所長はオンラインで参加。戸羽太市長と小林所長が覚書に署名した。
 連携の内容は、▽グローカルプログラムの実施▽開発途上国からの技術研修員受け入れの推進▽陸前高田市内での国際理解教育、外国人材支援を含む多文化共生の促進▽同市における地方創生の計画推進への助言・参画▽上記以外に双方が合意する事項──の五つ。最長5年間、取り組みを進めていく。
 JICAは令和元年度から、同市に職員を継続して派遣。市内では開発途上国の技術研修員が復興への取り組みを学ぶ研修なども行われ、両者はこうした結びつきをさらに強化しようと、連携覚書を締結することとした。
 今年1月からは、海外協力隊として開発途上国に派遣される予定の候補生2人が、派遣前に市内で地域活性化の試みや課題を学ぶ「グローカルプログラム」がスタート。4月1日までインターンを行っている。
 戸羽市長は「地方としての課題をさまざま抱えており、途上国で行っている問題解決のノウハウなどを共有したい。子どもたちにもグローバルな視点を養えるよう連携できればいい」と意欲を見せ、「非常に優秀な職員も派遣していただいており、市職員の刺激となっている。ぜひ来年度以降も派遣してもらえればありがたい」と述べた。
 北岡理事長は「この縁をさらに深め、発展させていきたい。陸前高田市がさらに世界に開かれていくよう貢献していく。職員の派遣は精査したうえ、できるだけ継続的、優先的に考えていく」と話した。
 JICAと地方自治体との連携覚書締結は、陸前高田市が全国17例目。東北では宮城県東松島市、釜石市に続いて3例目となった。