新たな体験 まず地域住民から 三陸アクティ ビティ推進協が3月まで周遊企画展開へ  〝デジタルスタンプ〟活用

▲ 旧甫嶺小体育館に整備された自転車BMXとスケートボード両用の「室内パーク」。各種イベント会場となるほか、県内外の愛好者に好評を博している(令和2年10月)

 東日本大震災の発生から、きょうで10年11カ月。本年度発足した大船渡市の三陸アクティビティ推進協議会(尾坪明会長)は、11日から地域住民に市内観光地などへの来訪を促し、特典で各種体験が楽しめる新たな取り組みを始める。旅行サイト「じゃらん」などを運営する㈱リクルートと連携し、各地で〝デジタルスタンプ〟を集めるというもの。コロナ禍で遠出が難しい状況を逆手に取り、地域住民が地元の魅力を再確認し、震災を乗り越えて整備された施設や、古くから親しまれている自然資源を生かした観光振興を見据える。

 

きょう震災10年11カ月

 

「遊ぼう大船渡スタンプラリーキャンペーン」のQRコード

 同協議会は昨年10月に発足。観光誘客の新たな取り組みとして、市内の自然や文化、仕事の環境を生かした体験型プログラムの提供充実を主な目的とし、甫嶺復興交流推進センターの指定管理を担う㈱三陸アクティブや三陸ボランティアダイバーズ、三陸ふるさと振興、岩手開発観光など11団体で組織している。
 

11日から始まる「遊ぼう大船渡スタンプラリーキャンペーン」は、スマートフォンでQRコード=別掲=を読み込めば、誰でも参加可能。市内各地に設けた飲食店や観光地を回り、GPS機能などを活用してスタンプを獲得する。

 対象地のうち、Aゾーンは飲食店や入浴施設など18カ所で、店舗での会計時に店頭のQRコードを読み込むことでスタンプが得られる。Bゾーンは末崎町の穴通磯や三面椿など、景勝地を中心とした32カ所で、それぞれ周辺に近づくと獲得できる。
 5カ所以上(このうちAゾーンは1カ所以上)でスタンプを得ると、特典の抽選に参加できる。特典は▽BMX室内パーク体験&ドミトリー宿泊券▽乗船によるホタテ養殖の体験▽越喜来ガイドツアー▽ダイビング体験▽史跡関谷洞窟住居跡・入洞体験──を設け、各5組10人が無料で参加できる。
 スタンプラリーの期間は、3月11日(金)までの1カ月間。気仙3市町の在住者を主な対象とし、今月13日(日)には新聞折り込みでキャンペーンの概要などをまとめたチラシを配る。
 Aゾーンの飲食店は、ファンが多い有名店だけでなく、東日本大震災後に再建したり、開業した店舗も多い。Bゾーンは、定番の観光地や震災を機に整備された空間に加え、県外からの愛好者・観光客が集う施設も目立つ。
 このうち、三陸町越喜来の甫嶺復興交流推進センターは旧甫嶺小学校を生かした施設で、一昨年10月に開所。復興交付金などを財源に市が整備し、1階は地域活動などの交流拠点、2階は宿泊施設となっている。体育館はBMXやスケートボード、インラインスケートが楽しめる「室内パーク」に生まれ変わった。県内外からスケートボードなどの愛好者が訪れている。
 震災の復旧・復興事業がほぼ終了し、市内では新たな道路網が整いつつある。今後は交流人口の拡大が求められる中で、同協議会は「観光地は日常の中に多い」とアピールし、まずは地域住民が震災後に生まれた各地の魅力などを知ることで良さを広め、地域内外の人々でにぎわう将来像を描く。
 一部の特典体験は、リクルートが運営する「じゃらん」にもツアーメニューとして掲載している。新型コロナウイルスの影響で、観

光分野は苦境が続く。地域住民にとっても遠出が難しい状況となっている中、地元の良さを見つめ直す機会づくりも見据える。

 協議会のメンバーとなっている岩手開発観光の三条義照観光部長は「地元の良さを知ることは、長年の課題。一過性にせず、継続的に各種体験活動ができるようなサポート体制も重要になる」と話す。協議会では今後も定期的に会合の場を設け、市内の観光資源を生かした体験活動の充実を図ることにしている。
 問い合わせは同協議会(info@buratto-sanriku.com)へ。