白砂青松再生への尽力に光 「高田松原を守る会」が受賞 第47回東海社会文化賞 顕彰式で決意も新た(別写真あり)

▲ 名勝・高田松原の再生を誓う鈴木理事長㊥、千田副理事長㊨、小山副理事長

 地域社会の各分野で地道な活動を続ける団体や個人をたたえる第47回東海社会文化賞顕彰式(東海社会文化事業基金主催)は12日、大船渡市大船渡町の東海新報社で開かれた。東日本大震災で壊滅的な被害を受けた陸前高田市の名勝・高田松原の再生や景観保全に取り組む同市のNPO法人「高田松原を守る会」(鈴木善久理事長)が受賞。市民の心のよりどころである白砂青松復活を目指し、決意も新たにした。

 

 新型コロナウイルス対策として、規模を縮小して開かれた式には、鈴木理事長(77)、千田勝治副理事長(73)、小山芳弘副理事長(70)の3人が出席。
 冒頭、同基金代表の鈴木英里東海新報社社長は、震災以前から続く守る会の活動に敬意を表し「(震災後に)植樹された苗が育つまでいろいろご苦労があると思う。本当の意味で高田松原を再生させるため、市民も巻き込みながら、子どもたちの思い出となる大切な松原をともに育てていってほしい」とあいさつ。鈴木理事長らへ顕彰状などを手渡した。
 鈴木理事長は、震災直後からこれまでの活動を振り返り、関わった人たちへの感謝を表したうえで、「植えたマツ苗が立派に成長し、将来、名勝にふさわしい高田松原になるのを目指してこれからも頑張りたい」と意気込みを語った。
 守る会は、白砂青松の美景を誇り、「日本百景」にも登録された名勝・高田松原を守り育て、江戸時代から植林を続けた先人の偉業を後世に伝え残すことを目的に発足。陸前高田ロータリークラブが平成15年に設立した「保存する会」を母体に、18年3月に市民による任意団体としてスタートした。
 23年3月の東日本大震災では、大津波で陸前高田市が壊滅的な被害を受け、高田松原の約7万本のマツも「奇跡の一本松」を残して流失。守る会は会員9人が犠牲となり活動困難な状況に陥ったが、残された会員らが松原再生に向けて協力した。
 法人化した27年以降は県、市などと連携し、県の高田地区海岸災害復旧事業により造成されたマツの植栽地(市有地)にマツ苗を植樹。8㌶のうち、守る会は2㌶、1万本分を担当し、全国からボランティアを募っての「再生植樹祭」などを開催して、昨年5月までに目標数のマツ苗を植え終えた。
 現在は、市内外の正会員71人、賛助会員78個人6団体で活動。マツ植栽エリアでの草刈りや松原再生に関わる講座の企画、歴史の伝承、震災後に高田松原から保護した植物の〝里帰り〟を目指す活動などを継続している。
 東海社会文化賞は、東海新報社創立15周年を記念して昭和48年に創設し、気仙で名利を求めず社会に貢献した陰徳の個人・団体を顕彰するもの。東日本大震災後の平成24、25年は受賞者選考を見合わせたが、26年に再開した。
 受賞者数は今回を含め、通算72個人52団体となった。