〝住田の酢〟 五葉地区から 地域協働組織が地元の柿を活用して開発 3月に地区住民へ試作品配布
令和4年2月17日付 7面

住田町五葉地区の地域協働組織・五葉地域づくり委員会(藤井洋治会長)は、地元の柿を使った酢の開発に取り組んでいる。同委員会は地域の未利用資源を活用した特産品づくりを進めており、柿酢の開発もその一環。3月中に試作品を地区内各世帯に配布して試飲してもらい、住民の声も反映させながら来年度以降の商品化を目指す。同委員会は「住田の酢を、五葉地区から広げたい」と意気込む。
同委員会は、町が進める「小さな拠点づくり」の一環で、平成29年度から活動を本格化。地区内で増えつつある遊休農地の活用を進めようと、町からの補助金を活用しながらサツマイモの栽培やウメの植樹を行ってきた。
昨年は、栽培したサツマイモでジャムを製作。資源活用の一環として、現在は年度内の完成を目指し、イタヤカエデの樹液を使ったサイダー飲料の開発も進めている。
五葉地区内には、気仙地方の特産としても知られる「小枝柿」が豊富にある。かつては同地区内でも収穫して食べたり、干し柿にするなどしていたが、近年は自家消費の習慣も薄れ、柿の木が育つと高齢者には高所での収穫作業も難しくなるため、地区内では放置されている木も増えている。収穫せずに放置すれば、野鳥やサル、シカなどを呼び寄せてしまい鳥獣害被害にもつながる恐れもある。
そこで、同委員会では資源活用の観点から、各家庭での消費が多く、健康にもいい酢に目を付け、本年度から柿を活用した製品開発に取り組んでいる。
地域内で採れた約10㌔分の柿を大船渡市内の加工業者に持ち込んで酢の製造を委託し、1月中に試作品が手元に届いた。「柿酢」は1本200㍉㍑で、3月中には地区内約120世帯分の試作品が完成する見込み。完成後には試飲してもらい、次年度以降の商品化に向けて意見を募る。
今回、開発した柿酢は、酸味の中にコクがあり、マイルドな味わいだという。そのまま飲むことも可能で、サラダにかけたりと、さまざまな用途で使用できるものに仕上がっている。
藤井会長は「3月には柿酢と、イタヤカエデの樹液を使ったサイダーの試作品が完成する見込み。来年度に向けて地区の皆さんから意見を募り、商品化へつなげていきたい」と話している。