絆の歌 高らかに響く 大船渡さんご合唱団 プロの歌手ら招き演奏会(別写真あり)
令和4年2月24日付 7面

大船渡市の大船渡さんご合唱団(柳田佳孝団長)による「第3回演奏会」は23日、盛町のリアスホールで開かれた。東日本大震災後から同市に思いを寄せるプロの歌手らも出演。新型コロナウイルスの影響で2度の延期を余儀なくされながらも、開催を信じ練習を重ねてきた団員ら25人が、絆の歌を高らかに響かせた。
2度の延期を経て開催
合唱団単独の第1部、プロの音楽家らによる第2部、プロと合唱団がコラボレーションする第3部でプログラムを構成。新型ウイルスの感染対策を講じた中、地域住民約250人が来場した。
1部では、同合唱団を指導する千葉賀子さんの指揮、同市のピアニスト・西村元希さんの伴奏で『あの鐘を鳴らすのはあなた』『北酒場』などを披露。久しぶりにスポットライトの当たるステージに立った団員らは、感染対策のため全員マスクを着用しながらも、笑顔の見えるような明るいハーモニーで歌う喜びを客席に伝えた。
2部では、プロのテノール歌手・辻裕久さんと作曲家・なかにしあかねさんらが登場。震災後、被災地で歌による支援活動を展開してきた2人が、発災からの日々に思いをはせながら『アメージング・グレイス』などを披露した。
3部は、なかにしさん作曲の合唱曲を辻さんの指揮、なかにしさんの伴奏で歌った。美しい情景を連想させる歌詞や旋律に心を込め、昨年5月に亡くなった前団長・新沼邦夫さんの分も声を重ね、全員でフィナーレを飾った。
なかにしさんは「本当に大切な出会いをいただいたと思っている。合唱団の皆さんは、演奏会が延期になった分、たくさん作品と向き合ってきたということが歌から感じられた。暮らす場所は違えども、これからも変わりゆく時間を一緒に過ごしたい」と拍手を送った。
演奏会は、同市市民活動支援事業補助金による東日本大震災復興支援事業「歌のちからきらめいて」の一環で、一般社団法人・Harmony for Japanの助成金も活用して開催。平成28年9月の第1回と31年3月の第2回に続き、当初は結団10周年の節目として昨年3月に開催を予定していた。
新型ウイルスの影響で9月に延期後、さらに再延期された。
これまでの期間、ステージの機会が失われ、厳しい練習の制限も受けたが、団員らは「演奏会を楽しみにしてくれている人たちのために」「団を支えてくれた人たちへの感謝を伝えるために」と諦めなかった。
新型ウイルスの感染収束は現在も見通せない状況が続いているが、平成26年に同市で合唱指導や演奏会を行った辻さんやなかにしさんの「また大船渡の皆さんと歌で交流したい」という思いも受け取り、今回の開催に踏み切った。
柳田団長(64)は「1年越しに演奏会開催がかない、無事に終演することができた。来場いただいた方々、協力していただいたボランティア、ゲストの方々に感謝し、心に響く合唱が届いていれば幸い。これからもたくさんの人に歌を聞いてもらいたい」と成功を喜んでいた。