春を呼ぶイサダ漁 3年ぶりの2月初水揚げ 大船渡市魚市場(動画、別写真あり)
令和4年2月25日付 7面

三陸沿岸に春の訪れを告げるイサダが24日、大船渡市魚市場に今季初めて水揚げされた。同日は、24隻が計約155㌧を漁獲。初水揚げは昨年よりも8日早く、2月から始まったのは3年ぶり。小雪が舞う中、桜色のイサダが岸壁を鮮やかに彩り、活気を呼び込んだ。入札の結果、1㌔当たり140〜84円での取り引きで昨年を下回ったが、一昨年以前との比較では高値となった。
気仙沿岸中心に約150㌧
岩手県内は21日から漁期に入ったが、同日と22日はしけ模様で休漁となり、祝日開けの24日から各船が出漁。24隻が30㌔入りカゴ合わせて約5156個を水揚げした。
気仙沿岸で漁獲した漁船は、正午過ぎから続々と入港。大船渡湾の湾口防波堤付近では、青い海に白波をあげて進む漁船の光景が相次いで見られた。
市魚市場の南側岸壁では多くの買い受け人らが見守る中、慌ただしく水揚げ作業が行われた。トラックやフォークリフトが次々と行き交い、活気に包まれた。
入札の結果、1㌔当たり140〜84円10銭で、昨年の190〜165円を下回った。一昨年の67〜55円50銭は大幅に上回り、近年続く不漁による在庫減などの動きが反映されたとみられる。
イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁のエサとして流通。県内では食用としての需要拡大を図ろうと、付加価値向上に向けた研究も進められている。例年、漁況が良ければ4月ごろまで水揚げが続く。
近年、岩手の漁獲枠は1万5000㌧が続いたが、東日本大震災以降は到達していない。平成30年、31年は1万㌧を超えた一方、令和2年は1561㌧、昨年は2998㌧と大きく落ち込んだ。昨年実績のうち、大船渡は数量が1563㌧、金額は3億2761万円で、県全体の半数超を占めた。
今年は漁況回復が期待される一方、岩手、宮城両県の漁獲枠は各9000㌧に設定。中長期的な資源確保を見据え、漁船漁業者が中心となって協議を進めた結果、4割に上る大幅減で合意した。
県沿岸漁船漁業組合の組合長理事を務める第二十一志和丸の志田恵洋船頭=大船渡市赤崎町=は「きょうは冷たい水が来ている割には、群れが薄い感じがした。あす以降どうなるかは、読めない。昨年、一昨年以上の水揚げは、われわれ漁業者だけでなく、みんな望んでいる」と話す。
市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「まずまずのスタートを切ったと言えるのでは。資源保護や食物連鎖を大切にする考えで漁船漁業者の方々が中心となって枠を設定したが、その枠がいっぱいになるような豊漁を期待したい」と期待を込める。