〝オール岩手〟で造りました 新商品の純米吟醸酒完成 学生団体の i─Sakeが酔仙酒造と共同で製造

▲ i─Sakeと酔仙酒造が共同で造った日本酒「ロンドイワテ2022」が完成

 県内の学生団体「i─Sake(アイサケ)プロジェクト」(佐藤汐菜代表、メンバー12人)が、陸前高田市の酔仙酒造㈱(金野連代表取締役社長)とともに商品開発を進めてきた純米吟醸酒「RondoIwate(ロンドイワテ)2022」が完成した。学生たちが自ら栽培した米や県産こうじ、酔仙の酒に使われる氷上山の伏流水など、〝オール岩手〟の原料で製造。互いに新たな挑戦を経て誕生した日本酒は、3月5日(土)に気仙など県内の小売店で発売される。


3月5日に販売開始

 

 i─Sakeは、若者の日本酒離れがみられる中、そのおいしさや魅力を伝え、親しみを持ってもらおうと、日本酒や農業、発酵などに興味がある学生たちで平成30年の秋に結成。盛岡市内の水田で栽培した酒米や県産のこうじ、酵母、水を用いて県内の酒蔵と共同で造った日本酒を「RondoIwate(ロンドイワテ)」の銘柄で販売している。
 令和3年度の酒造りは第3弾となり、「沿岸部の酒蔵を知ってもらう機会に」と、酔仙酒造に協力を依頼。1年をかけてプロジェクトを進めてきた。
 ロンドイワテのコンセプトは、「すっきりとした、甘くてフルーティーな味わい」。今回も、日本酒になじみのない若者が飲んでみたいと思う形を目指した。
 原料は、学生たちが栽培した酒造好適米「吟ぎんが」。今シーズンは初めて稲の芽出し作業から携わり、等級検査で1級に認められる良質な米ができた。これを55%精米した約300㌔分と、氷上山の伏流水、岩手生まれの酵母とこうじを使って純米吟醸酒を仕込んだ。
 学生たちは昨年11月末に大船渡市猪川町の同社大船渡蔵を訪れ、同社の杜氏・金野泰明さん(45)らの指導を受けて仕込みや洗米作業などを体験。その後は同社で製造を続け、酒は12月23日に出来上がった。
 その後、瓶詰めやラベル貼りなどを経て、商品が完成。今月25日には、販売に向けて佐藤代表らメンバー4人が大船渡蔵を訪れ、できたての商品を確認した。
 「ロンドイワテ2022」の瓶とキャップには、〝酔仙カラー〟の青色を使用。コンペで決定したラベルは緑系の二つの色が混ざり合い、新たな色が生まれるデザインで、「いつもの生活に、この日本酒が変化を生むように」などの思いを込めた。
 佐藤代表(20)=岩手大学農学部3年=は、「香りをかいだところから甘さが伝わり、飲みやすいものに仕上がった。今は新型コロナウイルス禍で人と飲むことが難しいが、少人数やオンラインで会話を楽しみながら飲みたい」と述べた。
 金野さんは、「沿岸の水の特徴と温暖な気候が酒に反映され、青リンゴを想像する吟醸香が出ている。白身の刺し身や淡泊な魚介類に合うが、スイーツと一緒に飲んでもいいと思う」と酒の特徴を説明した。
 酒造りを振り返り、佐藤代表は「今回は洗米を初めてやったり、裏ラベルの制作や営業を行うなど、造るところから売るところまでを経験できた」と充実した表情。
 金野さんは「学生たちと取り組んで、いつも以上にプレッシャーを感じて造っていたので、完成してほっとしている。一から少しずつ商品をつくっていく過程が勉強になった。この商品をきっかけに、日本酒、酔仙の酒に親しんでほしい」と話していた。
 商品は1瓶720㍉㍑入りで、価格は税別1700円。1000本限定での販売となる。問い合わせは酔仙酒造(℡47・4130)へ。
 i─Sakeでは、ロンドイワテ2022の購入者を対象に、3月12日(土)午後5時30分からオンラインで「銘柄引き継ぎ式」を開催予定。参加は無料。