110~120室で調整中 共立メンテナンスのホテル 市議会一般質問で当局答弁 来年度の着工見込む
令和4年3月1日付 1面

陸前高田市議会3月定例会は2月28日、通告に基づく一般質問が行われた。同日は鵜浦昌也(創生会)、及川修一(無所属)、蒲生哲(新志会)、伊勢純(日本共産党)、藤倉泰治(同)の5議員が登壇。市当局は、㈱共立メンテナンス(本社・東京都)が中心市街地に整備する計画のホテルについて「最終的な社内での意思決定を行う準備を進めていると聞いている。客室は110~120室前後で調整中で、来年度の着工、13~15カ月後の完成を見込む」と見通しを示した。
同社のホテル建設計画について取り上げたのは、蒲生議員。進ちょく状況や工期などとともに、「民間ホテルを活用して同市へのリピーターを獲得し、観光振興を推進するための施策の考えは」と質問した。
戸羽太市長は「観光産業の振興のためには、民間ホテルを含めた市内宿泊事業者との連携がより重要と考えている。宿泊を伴う参加者が多く見込まれるイベント、大会の魅力を向上させ、宿泊者の増加につなげたい」とし、スポーツ合宿の誘致やスポーツツーリズム、ブルーツーリズムの推進にも意欲を見せた。
鵜浦議員は教育行政に関連し、「原油価格の高騰に伴って物価が上昇しているが、新年度の学校給食費はどうなるか」とただした。
学校給食の1食単価は小学校が267円、中学校が312円。山田市雄教育長は、給食費維持のため、一部費用を保護者から市の負担に切り替えるなどしてきた取り組みを紹介し、「令和4年度も値上げは行わない予定。安心・安全な学校給食を提供できるよう努めていく」と述べた。
また同議員は、民法改正に伴い、新年度から成年年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられることを踏まえ、「今後の成人式の開催はどのように考えているか」と尋ねた。
山田教育長は「18歳の多くは高校3年生であり、進学や就職活動など重要な時期に当たり、新成人としての参加が難しいと見込まれる。成人式はこれまでと同様、対象年齢を20歳とする方向で考えている。式の名称は今後検討していきたい」と答えた。
及川議員は同市の財政状況について、各種基金残高や効果的な運用方法とともに「市債残高の状況はどのようになっているのか。また、市債の償還についての考え方はどうか」と答弁を求めた。
本年度末の各種基金の残高(概数)は、財政調整基金約84億円、市債管理基金約29億円、東日本大震災復興基金約11億円、公共施設等整備基金約10億円、がんばっぺし応援基金約7億円の見込み。財政調整基金は突発的な財政需要への備えとして、一定規模の残高を確保していく。震災復興基金は本年度、県から追加交付された震災津波復興基金市町村交付金約14億円を積み増し、ハード・ソフト両面の事業で活用していく。
市債残高は、震災前の平成21年度末が約146億円。震災後は徐々に減少し、本年度末の見込み額は約133億円で、21年度比約13億円減。実質公債費比率は令和2年度で14・9%で、県内市町村平均を上回っていることから、4年度に約8億円の地方債の繰り上げ償還を行うこととしている。
黒澤裕昭財政課長は「繰り上げ償還を行えば、実質公債費比率は令和6年度に13%台で、行わなければ16%台と試算しており、実施する効果は大きい」と述べた。
伊勢議員は同市のスポーツ、レクリエーション活動の振興にかかり、「オートキャンプ場モビリアの整備状況はどうか」と尋ねた。
モビリアでは震災後、敷地内に応急仮設住宅が整備され、宿泊棟のみの利用を受け付けていたが、需要減に伴い、平成30年1月から一般の宿泊受け入れを休止。市は県に対して本格再開を見据えた施設全体のリニューアル整備の要望を行い、今県議会に再整備にかかる設計工事費6億3000万円が上程された。県は令和5年4月のオープンを目指しているという。
戸羽市長は、こうした経緯を説明しながら、「モビリアは交流人口拡大を目指す本市にとって欠かすことのできない拠点。施設の復旧、また利活用について、引き続き県と連携しながら進めていく」と述べた。
藤倉議員は、市公共施設等総合管理計画に関連し、「更新費用や維持管理費について市民が客観的に理解できるようにすべきと思う。財政負担について他自治体と比較した場合、また震災前との比較はどうか」とただした。
戸羽良一総務部長は「自治体の規模や施設の種類、建築年数など、さまざまな要因により一概に比較は難しいが、県内他市のうち、人口規模などが比較的類似している県内4市と比較した場合、人口1人当たりの維持管理費は7万5567円と最も低い」と説明した。
また震災前との比較について、戸羽部長は「昭和52年に整備された市立図書館が被災しなかったと仮定した場合、令和3年で建築後40年が経過し、大規模改修や長寿命化改修を検討する時期がすでに到来していた。被災施設の復旧事業実施に伴い、老朽化していた公共施設を新たに整備したことは、施設の寿命の大幅な延伸につながったと認識している」とし、「総合管理計画で定める予防修繕などを徹底し、施設の適正化に努める」と答弁した。