ピーカンナッツ 市が15日から試験栽培 中心市街地のそば PRへ象徴的なエリアに 

▲ 試験栽培を行う中心市街地そばの平地部

 陸前高田市は15日(火)、高田町の中心市街地そばで、ピーカンナッツの試験栽培を始める。産学官連携で同作物の生産・流通基盤構築を目指すプロジェクトの一環。4月までに最大550本の苗木を植える計画で、同市に適した品種選定などにつなげる。15日は市内小学生、20日(日)には市民が参加する植樹会を開き、苗木の一部を植える。北側にはピーカンナッツの加工・販売拠点となる産業振興施設が今夏ごろオープンする予定で、施設の眼下に広がる試験栽培エリアをプロジェクトのシンボル的なほ場と位置づけ、相乗的に同作物をPRしていく。

 

小学生や市民との植樹会も

 

20日の植樹会申し込み専用フォーム

 市は令和2年4月から、横田町、米崎町の2カ所で試験栽培を行っている。「ピーカンナッツ発祥の地」を目指すプロジェクトを推進するため、中心市街地付近での試験的な植栽に乗り出す。
 植樹会は、市から苗木育成管理業務の委託を受けている一般社団法人・ピーカン農業未来研究所(上岡修代表理事)が主催し、会場は市による土地区画整理事業区域内の平地部。
 15日は市内小学生の卒業記念として、気仙小、矢作小、竹駒小、横田小の各6年生約40人が参加する予定。
 20日は参加する市民を公募する。定員は50人程度(先着順)で、7日(月)から13日(日)まで申し込みを受け付ける。
 現時点で1人1本を植える想定。米崎町のピーカンナッツ苗木育成研究施設で育てている国産苗木などを使う。植栽地の広さは約3㌶で、経過観察しながら同市の気候にあった品種を検討し、栽培技術の確立を目指す。
 ピーカンナッツは、北米原産のクルミ科の果樹(堅果類)。ナッツ類の中でも収益性が高く、抗酸化作用があり、アルツハイマー病予防に有効とされる。米国を中心に生食や製菓材料などとして普及している一方、国内の消費量はアーモンドの100分の1程度と希少性を持つ。
 陸前高田市は、東日本大震災からの農業再生、地方創生につなげようと、東京大学、老舗チョコレートメーカーの㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市、前内眞智子代表取締役社長)とのピーカンナッツ・プロジェクトを立ち上げた。3者は平成29年7月、連携・協力する協定を締結し、産地化や普及拡大に取り組んでいる。
 市が中心市街地に整備している産業振興施設は、夏ごろの開業を見込む。鉄骨造平屋建てで、広さは約1760平方㍍。ピーカンナッツの加工・販売を国内最大規模で手掛けるサロンドロワイヤルが出店する予定。キッチンスタジオを有し、同作物を使った食文化普及のイベントや講習会も開催する。
 市地域振興部の阿部勝部長は「高田地区の平地部でも苗木が育ち、実を収穫できるのか試験的に確かめる場所であると同時に、産業振興施設と一体となり、ピーカンナッツをPRしていく場。プロジェクトを推進するうえで、象徴的なエリアにしていきたい」と見据える。
 20日の植樹会の時間は午前10時〜11時。持ち物は軍手、長靴。参加申し込みは、専用フォーム(QRコード)、またはファクス(22・8108)で受け付ける。ファクスの場合は氏名、住所、年齢、連絡先を記載する。
 問い合わせは、市農林課農政係(℡54・2111内線476)、またはピーカン農業未来研究所事務局(メールobayashi@japan-pecan.net)へ。