平和を願い意思表示 おかずや和笑輪 店内にウクライナ国旗

▲ おかずや和笑輪に掲げられたウクライナ国旗と、店内に置かれている募金箱

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、陸前高田市高田町の中心市街地に昨年末オープンした「おかずや和笑輪(わわわ)」は「小さくとも反戦の意思を示そう」と、店内にウクライナの国旗を掲げている。レジ横には同国支援のための募金箱も設置しており、買い物客らが「震災の時お世話になった自分たちにもできることを」といった思いから善意を投じている。

 

「震災経験したからこそ」


 ㈲橋勝商店(橋詰真司代表取締役)が運営する同店はウクライナ国民を応援しようと、持ち帰り総菜を取り扱う店内や同じ建物内にある事務所の計3カ所に、色画用紙を使った手作りのウクライナ国旗を掲示した。
 青と黄色の2色で構成される同国の国旗は、ウクライナの澄みわたった青い空と、金色の小麦が広がる大地を表しているとされる。「欧州の穀倉地帯」とも呼ばれる実り豊かな美しい国が、侵略戦争によって踏みにじられている現状に心を痛めた同社専務取締役の橋詰智早子さん(53)は、「私たちも何らかの意思表示をしよう」と、色画用紙4枚を使って窓に国旗を張り付けた。
 智早子さんは「日本では、大きな声を上げることは苦手という人が多いだろうし、この国旗にも正直、目立った反応があるわけではない。でも何をしたらいいか分からないだけで、何かしたいと考えている人はたくさんいると思う」と語る。事実、店内の募金箱を見つけるとすぐお金を入れていく人は決して少なくない。
 3日に同店を訪れた同市出身の山野井美代さん(62)も、「(JR陸前高田)駅から歩いてきたらこの店の国旗が目に入り、思わず立ち寄った。今は埼玉に住んでいるが、反戦デモなどにもなかなか時間が合わず参加できない。何か応援したいという気持ちだけはあり、思いを同じくする人が陸前高田にもいると分かってとてもうれしくなった」とほほを上気させて語った。
 ウクライナにいる女性がテレビで「皆さんが現状や反戦の願いを発信し、私たちを思い続けてくれていると知るだけで心の支えになる」という趣旨の発言をしていたのを聞き、今回の取り組みを決意したという智早子さんは、「私たちも東日本大震災の時、多くの方々に『気持ちは一緒にいるよ』と心を寄せてもらい、その言葉に支えられた。表現方法はそれぞれ違っていい。思いはウクライナの人々とともにあるということを発信していければ」と話していた。
 同店に集まった募金は、軍事侵攻を逃れて周辺国に流出したウクライナ難民を支援するため、AAR Japan(難民を助ける会)を通じて寄付するとしている。