再び響き渡る 「鎮魂愛の鐘」  みなと公園への移設完了 地元国際クラブが尽力 海との眺望に調和

▲ みなと公園への移設が完了した「鎮魂愛の鐘」

 大船渡市大船渡町のサン・アンドレス公園復旧工事に伴い撤去されていた東日本大震災の犠牲者を悼むモニュメント「鎮魂愛の鐘」が、同町のみなと公園に移設された。再び海を眺める場所で響かせようと、設置した大船渡西ロータリークラブだけでなく、市内の国際クラブ連絡会議などが〝住民総意〟をまとめ、実現を後押しした。震災11年を迎える11日(金)午前9時30分から現地で同クラブによる完成披露セレモニーが開かれ、午後2時46分には鎮魂の思いを込めて鐘を鳴らす。

 「鎮魂愛の鐘」は、大船渡西ロータリークラブ内の復興支援委員会が中心となり、津波犠牲者の冥福を祈るとともに、市民が記憶をとどめ語り継いでいくためのシンボルにしようと設置に奔走。ロータリークラブを中心に、国内外から支援を受けた。
 平成25年3月、大船渡湾に臨むサン・アンドレス公園の展望台東側(県有地)に完成。高さ約9㍍で、ステンレス製の柱の上部に毎日午後2時46分に自動で鳴らす鐘を付け、下部には手動式の回転鐘も設けて訪れた人が鳴らせるようにした。さらに、被害状況など震災の記録を刻んだ日本語と英語表記の石碑も設けた。
 自動の鐘は、青銅製で高さ60㌢、重さ110㌔ほど。広島平和記念公園の「平和の鐘」も手掛けた富山県高岡市の銅器メーカー、老子製作所によるもの。これより一回り小さい手動の回天鐘はフランス・リヨンのロータリークラブから寄贈された。
 同公園は、大船渡港の防潮堤工事に伴う資材置き場などに利用されたあと、令和元年2月から県が復旧工事に着手。「鎮魂愛の鐘」はこれに伴い撤去となり、鐘やステンレス製の柱は橋爪商事㈱=大船渡市=が、石碑は㈲遠藤石材販売=同=が保管していた。
 公園内に置く案もあったが、そばに防潮堤が整備されることから、海を望む場所への再設置を模索。防潮堤を生かした築山から大船渡湾が眺められる県有地のみなと公園への移設を希望した。
 行政側との協議では、展望広場からの眺望に影響をもたらすため、住民間の合意形成が求められた。これを受け、大船渡ロータリークラブや大船渡ライオンズクラブ、大船渡五葉同、大船渡青年会議所、同会議所OB会、黄金の海・ケセンプロジェクトなどによる連絡会議が署名活動を展開。今年1月までに1266人分の〝賛同〟が集まった。
 各団体は、平成4年に完成したサン・アンドレス公園整備でも手を取り合い、命名などに尽力。30年を経て再び結集し、成果を残した。連絡会議で調整幹事を務めた大船渡五葉ライオンズクラブの渕上清会長(63)は「団体を超えた協力に感謝している。国際交流活動が再び活性化するスタートとなれば」と話す。
 移設工事は、今年1月から始まり、今月3日に完了。手動の回転鐘は、誰でも鳴らすことができる。大船渡西ロータリークラブでは今後も、再び自動の鐘が定期的に鳴り響くよう電源設備などの調整を行うことにしている。
 同クラブの志田成樹会長(49)は「世界中の人たちの善意によるもの。市外からも多くの人々が訪れ、地域活性化につながれば」と語る。撤去や移設事業にかかわった水野賢一元会長(68)は「震災11年を前に、より良い場所に設置され、ひと安心。追悼や鎮魂だけでなく、観光のシンボルにもなれば」と期待を込める。