〝復興〟のその先目指し 市が記録誌を発行 「これまでの取り組み礎に」
令和4年3月9日付 6面

陸前高田市はこのほど、東日本大震災の復興記録誌を発行した。大震災から10年余りの同市の歩みを1冊にまとめたもので、復興事業や行政の取り組みだけでなく、産業や防災、観光などの分野における市民の活動についても広く取り上げた。記録誌は市内全戸へ配布されたほか、市は「これまで本市の復興のため、ともに歩んでくださった方々に対する『報告書』としても活用したい」としている。
「東日本大震災からの記録 〝復興〟のその先へ」と題した同誌は、A4判フルカラー、全32㌻。大震災による被害を受けて推進してきた多重防災のまちづくりを振り返るとともに、「復興」をスタート地点とし、その先へ向けて一歩踏み込んだ官民の活動などを取り上げる狙いで、市建設部復興支援室が企画、東海新報社が編集した。
戸羽太市長は冒頭のあいさつ文で、「この10年以上に渡る時間の流れの中で作り上げてきた取り組みを土台にして、これからも持続可能なまちづくりに向け、皆で力を合わせながら新たなステージに向かっていきたい」と述べ、産業、福祉、医療、教育、文化、防災、観光、コミュニティーの各分野における市民の努力が、まちづくりの基礎となったことに感謝を示す。
同誌もこれらの分野別に主だった取り組みを紹介。震災が発生した平成23年から令和3年までの10年間の主要な出来事も年表にまとめた。
編集にあたっては写真を多用し、記録としてだけでなく、市外の人たちに陸前高田の魅力を伝える「ガイドブック」としての側面も重視。名建築家らの手がけた建造物が市内に集中する全国的にもまれな特徴をとらえた「たてもの探訪」のページなど、市民にも発信したい情報を盛り込んだ。
また、震災後に同市が新たな縁を結んだ愛知県名古屋市、米国クレセントシティ市、シンガポール共和国、ワタミ㈱、㈱サロンドロワイヤル、川崎フロンターレからの激励メッセージを掲載し、これまでの数々のサポートについても紹介する。
同誌は2日に全戸配布された。「知人や遠方の家族に送ってやりたい」という市民からの問い合わせもあり、市建設部復興支援室は「残部は限られるが、小部数であれば希望者に直接お渡しする」としている。また、同市ホームページからは全㌻のPDFデータをダウンロードできる。問い合わせは同室(℡54・2111)まで。