6月4日に楽天ファーム戦 復旧の松原野球場で開催 米田球団社長が現地視察(別写真あり)

▲ 6月4日にファーム戦が行われる第一野球場を視察する米田代表取締役社長

 東日本大震災で被災し、一昨年夏に全面復旧した陸前高田市の高田松原運動公園第一野球場で6月4日(土)、プロ野球イースタン・リーグ公式戦の楽天イーグルス─巨人戦(㈱楽天野球団主催)が行われる。市とパートナー協定を結ぶ同球団の米田陽介代表取締役社長(38)が9日、現地を視察した。同市での楽天ファーム(2軍)戦は、震災や新型コロナウイルス禍の影響で2度中止となった。地元にとって11年越しの悲願の公式戦で、生まれ変わった野球場で〝若鷲戦士〟のプレーを観戦できる。

 

戸羽市長を表敬訪問し、オリジナルベースの寄贈も

2度中止、地域の悲願

 

 米田代表取締役社長は今年1月の就任後、初めて同市を訪れた。戸羽太市長を表敬訪問し、市に少年野球用のオリジナルベースを寄贈した。
 戸羽市長は、楽天のファーム公式戦が2度中止となった震災後の経過を振り返りながら、「試合開催は地域の悲願。子どもたちをはじめ、市民は心から楽しみにしている。コロナの感染状況がどうなるか分からないが、ぜひリアルに観戦できればいい」と願いを込めた。
 米田代表取締役社長はその後、第一野球場に移動。「楽天イーグルス奇跡の一本松球場」の愛称がつく球場を眺め、市担当者から各種設備の説明を受けた。高田松原津波復興祈念公園内の震災津波伝承館なども訪れ、被害状況に理解を深めた。
 楽天ファーム戦は平成23年、改修工事を行った高田松原第一野球場でのこけら落としイベントとして予定していた。しかし、完成寸前で震災が発生したため白紙となった。
 その後、楽天は東北唯一のプロ野球チームとして、試合観戦への招待、被災地での野球教室開催などさまざまな復興支援活動を展開。29年3月には、陸前高田市と「スポーツ交流活動パートナー協定」を締結した。
 第一野球場を含む高田松原運動公園は、令和2年8月に復旧完了。同年に横浜DeNAとのファーム戦が組まれたが、今度はコロナ禍の影響で見合わせとなった。
 球団は今季、7年ぶりに東北6県でイースタン・リーグ公式戦主催試合を開催する。奇跡の一本松球場では、正午に試合開始する。客席の収容人数は、メインスタンドと芝生の外野スタンドを合わせて最大4500人となっている。
 米田代表取締役社長は「6月4日は地域の子どもたちに笑顔を届けたい。五感で楽しむ生の試合の醍醐味をぜひ味わってほしい」とPR。震災から11年を前に、「震災を風化させないことが一番大事。球団としてこれからも皆さんに寄り添い、野球の力で元気にしたい」と決意を語った。