陸前高田で描く夢発信 SDGs起業家支援プログラム 本年度は5人が修了 ビジネスプラン説明(別写真あり)

▲ SDGs起業家支援プログラムの本年度修了者

 陸前高田市は13日、高田町の市コミュニティホールで、同市SDGs起業家支援プログラムの成果発表会を開いた。同市のビジネス資源を生かし、地域課題の解決を目指す起業家の創出・育成を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)推進につなげる2年目の取り組みで、本年度は5人が修了。同日は、セミナーやフィールドワークなどを経て練り上げたビジネスプランを発表した。

 

市事業2年目

 

ビジネスプランを説明する修了者

 成果発表会は、オンラインを併用したハイブリッド形式で開かれ、同ホールでは修了者や市担当者、市内事業者など約20人が参加。修了者5人のうち3人がビジネスプランを発表した。
 このうち、横田町の荻原直子さん(56)は▽伝統のリメーク▽食のリメーク――の二つを事業計画の柱に据え、コンセプトや事業の概要、実現したい将来像を説明。「食のリメークでは地元農家と協力して廃棄野菜を使った加工品を製造・販売し、フードロスゼロのまちを実現したい」と青写真を伝えた。
 横田町出身で、仙台市の会社員・伊藤悠也さん(31)は、大手旅行サイトの運営業務に携わった経験を生かし、同市への観光入込客数を増やす構想を紹介。宿泊施設における旅行予約サイトの導入促進など誘客策を挙げ、「関係者と連携しながら、まちの10年後を創造できるような取り組みを展開していきたい」と力を込めた。
 伊藤さんは「東日本大震災を経験し、いつか古里に貢献したいと思いながら、そのきっかけをつかめずにいて、起業家支援プログラムは絶好の機会と思い参加した。住んでいたまちの課題を改めて考える機会となり、プログラムを通じてさまざまな気付きがあった。まだアイデアベースではあるが、こうして発表できたのは自分の中で大きな一歩。古里のためどう事業展開できるか、考えていきたい」と意気込みを語った。
 市は令和元年7月、国のSDGs未来都市に選定され、起業家支援プログラムはSDGs推進の一環で令和2年度創設。初年度は3人が修了した。本年度は昨年8月にキックオフセミナーがあり、その後月に1〜2回、同市の起業家に話を聞いたり、地域資源を探るフィールドワークや個別相談、ビジネスプランの指導などを重ねてきた。
 市地域振興部の阿部勝部長は「修了者のビジネスプランのテーマは、『ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり』を進める当市が地域課題と捉えているものばかり。具体的な動きはこれからという段階ではあるが、修了者の事業が実現するよう行政として今後も後押ししていきたい」と継続的な支援へ意欲をみせた。
 市は来年度も同プログラムを実施し、新たな起業家の発掘を目指す。