審議会が町教委に答申 小学校…時機待ち統合を 中学校…統合が望ましい
令和4年3月19日付 1面

本年度第5回の住田町教育審議会(会長・山本奬岩手大学教授)は17日夜、町役場町民ホールで開かれた。町教委が諮問していた今後の小中学校のあり方について、同審議会では「中学校は統合が望ましい」、「小学校は時機を待って統合を」と答申した。町教委では今後、答申内容を踏まえて早期に住民、保護者らへの説明、合意形成を進め、小中学校ともに十分な対策を講じながら統合を図っていく。
住民らの合意形成へ
教育審議会は、教育委員会の諮問に応じて▽教育計画の樹立▽学校の組織再編の企画――に関する事項について調査、審議するもの。
同審議会は昨年7月、町教委から「今後の小中学校のあり方」について諮問を受け、これに対して▽現在のまま▽小学校のみ統合▽中学校のみ統合▽小中学校とも統合▽小中一貫校──のいずれかの方向で答申するために議論を重ねてきた。
これまでに開かれた審議会では、中学校の統合に関して委員や保育園、小中学校の保護者、地区公民館長らからは、部活動・学校行事充実や生徒間の競争力向上などの観点で「中学校の統合はやむなし」との共通認識が図られた。
一方、小学校の統合に関しては、世田米、有住両小学校間の距離を考えると「統合してどちらの校舎を使うにしても登下校には長い時間がかかり、子どもたちには負担となる」との意見を踏まえ、「小学校の統合は時機を見て判断する」との方向性を確認した。
この日は委員11人が出席。協議では、はじめに答申案を確認。
審議会から示された案では、「児童・生徒は、学校での集団生活を通し、多様な人間関係を体験し学ぶことで社会性や集団性を養い、成長と遂げていく。そのため、小中学校の多感な時期にさまざまな見方・考え方を持っている多くの友達と出会い、互いに学びあい、高め合うなど、切磋琢磨できる教育環境が必要と考えられる」などと指摘。
そのうえで、中学校については「統合が望ましい」、小学校については児童の発達段階を踏まえた十分な策を講じる必要があることから「時機を待って統合することが望ましい」と結論づけ、「教育委員会においては、この答申の趣旨について、令和4年度に策定する第10次町教育振興基本計画に反映させるとともに、早期実現に向けて努力するよう要望する」と求めている。
付帯事項として▽当該学校の関係者、保護者ならびに地域住民への十分な説明を行い、合意形成を図ったうえで進めること▽地域創造学での保小中高連携した学びを継続し、さらに深めていくこと▽通学区域が変更となる児童・生徒に対する通学支援の手立て(スクールバス等の運行)を講じること▽統合が実現するまでの間、学校間の交流活動等を行い、児童・生徒や保護者の不安を解消するよう努めること──の4点を盛り込んだ。
出席した委員からは案に対する反対はなく、審議会では原案通り決定、答申した。
答申を受け、松高正俊教育長は「住田の子どもたちにとってよりよい教育・学校のあり方について推進していきたい」と述べた。
この答申をもって、審議会は解散。町教委は今後、住民説明を行いながら合意を得ていくとともに、まずは中学校の統合に向けて組織を立ち上げ、統合形態や時期、校名、校章など統合に必要な事項を協議していく。