夜空に門出祝う大輪 須崎川河口部で花火 高校3年生らにエール(別写真あり)

▲ 須崎川河口部で打ち上げられた花火

花火に合わせてパフォーマンスを披露した金野君㊨と菅生君

 大船渡市大船渡町の須崎川河口部で20日夜、花火の打ち上げが行われた。東日本大震災の復興事業で整備された中心市街地で多彩な活動を繰り広げた高校3年生らの門出を祝い、さらなる交流を願う大輪が夜空を彩った。
 打ち上げは、キャッセン大船渡内で行われてきた大船渡まちもり大学の関係者有志によるもの。同日は、市内の高校生らがプロデュースする「春の学園祭」を予定していたが、昨年夏に続き新型コロナウイルスの影響で中止となったことから「贈り物」として企画した。
 この日は冷え込んだ夜となったが、澄んだ空気の中、5分間にわたって花火が彩った。中心市街地だけでなく、高台にある大船渡中学校付近や、大船渡湾を挟んだ赤崎町側からも堪能できた。
 学園祭開催を目指してきた高校生は、長期間にわたり、まちもり大学の活動を盛り上げるとともに、コロナ禍で苦境にあえぐ地域のにぎわい創出を図ろうと準備を重ねてきた。まちもり大学の関係者は高校生らとともに見上げ、これまでの感謝と今後の飛躍にエールを込めるとともに、後輩たちのまちづくり参画に期待を込めた。
 打ち上げに合わせ、キャッセン内の須崎川沿いでは、高校生によるパフォーマンスダンスも行われた。金野義人君(大船渡東高3年)と菅生晴輝君(同2年)が音楽に合わせて入念なリハーサルを重ねた踊りを披露し、花火に彩りを添えた。
 4月から社会人となる金野君は「昨夏と今回の学園祭で行う予定だったパフォーマンスをみんなに披露することができてよかった」と笑顔を見せた。
 昨夏の学園祭で実行委員長を務めた葉内誠矢君(大船渡高3年)は、仲間とともに花火とパフォーマンスを見守った。4月からは県外で大学生活を送る。
 大輪を見上げながら「2回連続でイベントが中止となり、本当はもっと多くの人に見てもらいたかった。でも、開催に向けて一緒に頑張ってきた仲間と花火を見ることができて、高校生活最後の思い出になった」と語り、これまでの活動をまとめた。
 春の学園祭実行委の小林友香委員長(同2年)は「学園祭の中止は本当に残念だが、実行委のメンバー全員で決めたことなので、この決断に悔いはない。ほかのメンバーも『実行委としてまだまだ活動したい』と言ってくれているので、コロナ禍の状況も見ながら地域を盛り上げられる活動を考えていければ」と話していた。