たどりつなぐ古里の歩み 地元の「語る会」が『末崎の昔さがし』発刊 身近な歴史を一冊に
令和4年3月23日付 7面

古里の歴史を知り後世に伝えようと活動する大船渡市末崎町の「末崎の昔を語る会」(大和田東江会長)は、『末崎の昔さがし〜貴重な文化遺産を後世に引き継ぐ〜』をこのほど発刊した。会の発足以来、およそ30年間にわたって続けてきた「昔さがし」の活動をもとに、身近な歴史を一冊にまとめたもの。同会では「郷土の故きを温ね、新しきを知り、後世へ語り継いでいくためのきっかけになれば」としている。

町内に見られる古碑などを網羅して掲載
同会は、古里の歴史や先人が残した文化的遺産に触れることで、生きがいづくりや教養を深め、豊かで住みよい郷土の発展に寄与することを目的として、平成6年に発足。現在の会員は約40人。「末崎の昔さがし」として、町内にある寺社や古碑、旧跡などの現地踏査や文献の調査、専門家を招いての勉強会などを実施している。
この「昔さがし」をタイトルに冠した本の発刊は、これまで調べてきた「末崎の歴史的宝」を会員だけでなく町民と共有しようと、決めたもの。2年前に大和田会長(80)を委員長とする編集委員会を立ち上げ、町内7地区で町民との懇談会も行うなどしながら内容を練りあげてきた。
町内に残る寺社や古碑、旧跡、郷土芸能などを地図に落とし込みながら紹介。郷土史関係者からの学びや懇談会での聞き取りも反映しながら、それぞれのいわれなどについても詳しく記述した。
個人的にも気仙や末崎の歴史の調査研究に打ち込み、過去に自らの著書も出版してきた副会長兼事務局長の新沼紀三さん(78)が、編集総括を担当。出来上がった本を手に「家々の氏神や碑なども網羅した本はあまりないのではないか。末崎城主・武田家の系図など自分自身も初めて知ることがあり、興味深く調べさせてもらった」と語る。
A4判409㌻で、地元の地縁団体・末崎町公益会(新沼眞作理事長)から助成を受け、1400部を作成。町内全戸や小中学校に配布するほか、気仙両市の市立図書館と市立博物館などに贈る。大和田会長は「身近なところに歴史が息づいていることを改めて知った。子どもたちにも末崎の歴史に関心を持ってもらう足がかりになればうれしい」と話している。
残部が若干あり、希望者に有償で頒布する。問い合わせは大和田会長(℡090・8250・3085)または新沼副会長(℡29・2566)へ。