安全で円滑な交通を確保 国道 340号葉山─恵蘇工区 あす全通 線形や変形交差点など改良

▲ 25日に全線開通を迎える国道340号の葉山─恵蘇工区=住田町

 県が住田町上有住で整備を進めてきた一般国道340号葉山─恵蘇工区(延長1450㍍)が、25日(金)午前10時に全線開通する。道路線形や有住中学校付近の変形交差点などを改良したもので、平成27年度の事業着手から約7年を経て工事が完了。安全で円滑な交通確保とともに、観光振興、緊急時の交通信頼性向上などが期待される。

 

 住田町内の国道340号は、一部区間で現道が狭く、急カーブが続くなどの難所があり、乗用車のすれ違い困難や交通事故などの一因となってきた。特に、東日本大震災発生後は内陸部と被災地を結ぶ重要な路線となっており、地元地域からは難所の改良と災害時に強い道路としての整備が求められていた経緯がある。
 平成24年度には、県による世田米の陸前高田市側から火石交差点までの山谷工区(延長2・7㌔)道路改良が事業化され、用地測量調査などを経て、27年度から工事が本格化。総事業費39億6000万円をかけ、30年度に開通を迎えた。
 葉山─恵蘇工区は、現道区間が幅員狭小、線形不良の連続に加え、変形交差点や落石危険箇所が存在するなど交通の支障となっていた。このため、安全で円滑な道路環境を確保し、災害時の援助・救援活動を支援することを目的として県が27年度に事業着手。「復興支援道路」の一つに位置付けられており、総事業費は約33億5000万円。
 同工区内には、主要構造物となる3本の橋が整備された。このうち、有住小学校を遠野側に進んだ箇所にある新馬場野橋(延長25㍍)は令和2年に、有住中学校近くに設けられた新曽古内橋(同35㍍)は3年にそれぞれ完成した。
 2年度末までに、遠野側の延長800㍍が供用開始しており、今回、葉山めがね橋近くに架かる蔵王洞橋(同58㍍)とその前後の道路工事が完成したことにより、残る650㍍が開通となり、同工区が全線で供用開始を迎える。
 同工区中、新曽古内橋から蔵王洞橋の付近は、旧道では急カーブや落石危険個所だったことから道路を移設し、現道よりも直線的なルートに変更。幅員は11㍍で、うち車道は路肩含め4・25㍍ずつ、片側には幅2・5㍍の歩道を設けた。幅員の拡充により、これまでは車両同士のすれ違いが困難だった場所でもスムーズな走行が可能となる。
 新馬場野橋には有住小児童、新曽古内橋、蔵王洞には有住中生徒がそれぞれ揮ごうした文字を元にした橋名板も用いられ、長く地域に親しまれる構造物になるよう願いが込められた。
 国道340号は住田町が誇る観光地・滝観洞へのアクセス道、遠野、住田、沿岸地域を結ぶ路線としても活用されており、道路整備による交流人口拡大、観光活性化にも期待がかかる。
 県大船渡土木センター道路整備課の古舘衛課長は「復興支援道路として整備をしてきたもので、貴重な土地を提供していただいた地域の方々に感謝したい。国道340号は災害時の緊急輸送道路にもなっているが、葉山─恵蘇工区の整備で走行性がよくなり、救急車での緊急搬送時にも振動が少なくなる」と話している。