主要施設の検討状況示す スポーツ施設計画 新年度も引き続き調査へ

▲ 昭和39年に整備された市営球場などのあり方について検討

幅広い観点から意見が寄せられた審議会

 大船渡市スポーツ推進審議会(会長・田中正芳市体育協会副会長、委員10人)が24日に市役所で開かれ、市当局は昨年度策定した市スポーツ施設整備基本計画に基づき、末崎町の市営球場や盛町の市民体育館、市民テニスコートなど主要施設の検討状況を示した。他自治体の整備事例調査を行ったが、いずれも具体的な方針は固まっておらず、新年度も検討・調査を進める。当局はこのほか、ソフト面の交流推進事業やアスリート応援にも注力する方針を掲げた。

 

 同審議会は、スポーツ分野の学識経験者や関連団体の関係者で構成し、基本計画に基づく実施状況などの評価・検証を行うとしている。この日は委員9人に加え、関連施策を所管する市協働まちづくり部の職員らが出席。市当局は今回初めて、検討状況を示した。
 昨年1月に策定した同計画は、市内のグラウンド7施設、体育館3施設、テニスコート2施設に、盛町の市民弓道場と三陸町綾里の三陸B&G海洋センタープールを加えた計14施設が対象。多くの施設で「長寿命化」を図る内容となっている。
 一方、整備から50年以上が経過した市営球場は建替再整備を検討。盛町の市民体育館は長寿命化を図りつつ、施設更新の検討も進める。利用率が高い同町のテニスコートは、隣接する田中島グラウンド敷地への拡張を計画し、B&Gプールは存廃検討を掲げる。
 市は本年度、施設整備に関する他自治体事例調査を実施。東日本大震災以降に行われた県や市町村による整備状況を把握した。
 説明によると、野球場は既存施設の老朽化に伴う建替えか大規模改修が占め、維持管理が容易であるため人工芝導入が目立つ。一部の災害復旧整備を除けば、運動公園として一体的に整備され、広域避難場所に指定された防災拠点を兼ねる複合施設も。サブグラウンドや屋内練習場などの補助運動場も設けている。
 体育館は、全国20件を調査した。ほとんどが、複数のアリーナを有し、更衣室やシャワー室、トレーニング室などを充実させた「総合体育館」の位置づけ。備蓄倉庫や避難所としての機能整備も多い。民間資金やノウハウを活用するPFI方式の導入・検討が進み、設計・施工・運営を一括で発注するBTO方式も見られる。
 現段階では、市営球場や市民体育館、テニスコート、B&Gプールとも、整備対応の具体的な方針が固まるまでには至っていない。市当局は新年度も、調査・検討を進める。
 委員からはテニスコートについて「拡張するスペースを別用途にも転換できる可能性はあるか」との発言があった。市当局は、フットサルや3人制バスケットボールなどを挙げ、複合的な利用対応も検討に含める姿勢を示した。別の委員からは、観覧場所の充実を求める意見も出た。
 球場に関しては「ナイター施設がないなど、ずっと言われてきたこと。まったく進んでいない」「施設が充実していれば、大会誘致の可能性も広がる」との指摘も。新沼徹協働まちづくり部長は「財源は重要だが、その他にも多くの状況を詰めなければならない。多面的に検討している」と述べ、理解を求めた。
 審議会で市側は、4年度のスポーツ・レクリエーション事業計画も示した。スポーツを通じた、にぎわいあるまちづくりの推進に向け、著名なアスリートと子どもたちとの交流イベントなどを行う推進事業や、昨年本格化させた大船渡アスリート応援団事業の充実を図る。さらに、東京2020オリンピックの「レガシー継承」として、米国陸上選手らとのオンライン交流会などを予定している。