あす、市制施行70周年  記念事業は新年度に計画 「次のまち づくり」軸に 式典は秋以降の開催へ

▲ 新年度に70周年記念事業を計画している大船渡市

 大船渡市は、あす4月1日(金)で市制施行70年を迎える。昭和27年の同日に2町5村が合併して誕生し、2度の大津波被害や三陸町との合併、港湾や道路をはじめとした基盤整備を経て、水産や窯業など多彩な産業をもとに成長を遂げた。市は今年秋以降の記念式典開催を描くほか、今後のまちづくりにつなげる観点で、東日本大震災の復旧・復興を支えた派遣職員らと交流も検討。職員への防災服配布なども進めることにしている。


交流事業なども検討


 同市は、気仙郡央の盛、大船渡2町と末崎、赤崎、猪川、立根、日頃市の5村による大同合併(人口3万1597人、5390世帯)で誕生。市制開始から49年後の平成13年11月15日には、隣接する気仙郡三陸町と合併した。
 この間、日本初となる第三セクターの三陸鉄道開通や福祉の里整備、大船渡港湾整備などのインフラ事業に加え、産業振興や医療福祉の充実に向けた諸施策を展開。三陸町との合併後は、合併建設計画に盛り込んだ各種ハード整備にも取り組んできた。
 昭和35年5月のチリ地震津波や平成23年3月の東日本大震災など、幾多の自然災害の脅威に見舞われた中、被災地の復興を成し遂げながら都市基盤を整備。沿岸部の防災力を高めるとともに、三陸沿岸道路が全線供用を迎え、都市間移動の利便性も増した。
 第9代となる戸田公明市長は「終戦後の社会が混乱している中でのスタートだったと思う。2度の大津波を乗り越えて復興、発展してきたことを思うにつけ、携わった多くの方々に対し、今を生きる者として感謝や敬意を表したい。今後も将来へ発展させていかなければならない。知恵をさぐりながら前進する」と語る。
 市は、新年度の一般会計予算に3277万円を計上し、記念式典をはじめ各種事業を進める。市総務部では「祝福や感謝を伝えるだけでなく、次のまちづくりに向けた一つのきっかけにしていきたい」との方向性を掲げる。
 現段階で、表彰や感謝状贈呈などを行う式典は、秋以降の開催を見据える。50周年記念式典は平成14年10月に開き、市勢発展に貢献した個人、団体をたたえた。
 東日本大震災で支援を受けた自治体に案内し、派遣職員らとの交流機会を設けることも検討。職員派遣は同24年から本格化し、40を超える自治体や各種団体などから、約500人が赴任した。
 復旧・復興事業に尽力するだけでなく、職員間の交流も続き、地域活性化への貢献も生まれた。こうしたネットワークを、今後の市政に生かす弾みとしたい考え。新型コロナウイルスの影響をにらみながらとなるが、式典とは切り離した形での実施とし、市内で行われる催事との連動も含めて今後調整を進める。
 さらに、職員には防災服を配布する計画。背中部分に市職員であることがすぐに分かるような表記を入れ、災害対応時のスムーズな連携などにつなげる。
 震災時、全国各地から自治体職員が駆けつけ、防災服に記された都道府県や市町村名から、一般住民が「さまざまな地域から応援を受けている」と実感し、励みになった。被災地としての経験を生かし、他自治体に出向いた支援時の着用も想定する。
 このほか、スポーツイベントやリアスホールでの自主事業に対し、名称の前に「70周年記念」などを添える冠事業も計画。節目を生かした住民交流や、地域活性化などへの波及も見据える。